腐食解析モジュールアップデート

腐食解析モジュールをご使用の場合, COMSOL Multiphysics® バージョン 5.2a では, 新しい外部短絡境界条件を利用でき, 電気化学的に活性の大型物質を相互接続する防食の問題に有用です. また, 新しいチュートリアルモデルでは, モノパイル装置において, 時間の経過と共に犠牲陽極が溶解するに従い, 陰極防食性が低下する様子についてスタディを行えます. 腐食解析モジュールのアップデートの詳細は, 以下のとおりです.

新しい ネルンスト・プランク・ポアソン方程式 インターフェース

新しい ネルンスト・プランク・ポアソン方程式 マルチフィジックスインターフェースを使い, 電荷中性を仮定できない電気化学二重層内の電荷・イオン分布を調べることができます. ネルンスト・プランク・ポアソン方程式 インターフェースは, 電位と空間電荷密度の定義済み連成と共に, 静電気 および 希釈化学種輸送 インターフェースをモデルに追加します.

新しい外部短絡境界条件

新しい外部短絡境界条件を使い, 外部集中抵抗を介して電極表面, 多孔質電極, 電極を短絡させることができます. 新しい境界条件は, 例えば電池の短絡を調査する場合や, 防食の問題において電気化学的に活性の大型物質を相互接続する場合などに適しています.

新しい 電気化学熱源 マルチフィジックスノード

新しい 電気化学熱源 マルチフィジックスインターフェースは, 電気化学熱源と伝熱インターフェースを連成させる選択肢を提供します.

新しい熱力学的平衡動力学タイプ

過電圧がゼロ (ごくわずかな電圧損失) であると仮定する, 新しい熱力学的平衡の電極反応速度タイプ (* 二次電流分布* インターフェースでは「第一条件」と言います) が電極反応でサポートされるようになりました.

多孔質電極とエッジ電極の膜抵抗および溶存-付着化学種の新しいサポート

Porous Electrode (多孔質電極) ノードと Edge Electrode (エッジ電極) ノードで、膜抵抗および溶存-付着化学種の追加がサポートされるようになりました. 以前は, これは電極表面機能でのみサポートされていました. 多孔質電極の膜抵抗と溶存-付着化学種を使い, 例えばリチウムイオン電池の固体電解質界面 (SEI) 形成をモデル化できます.

新しいチュートリアルモデル: 犠牲陽極の溶解を伴うモノパイル

モノパイル基礎は直径の大きな構造要素で, 洋上風力発電タービン等の構造物を支持するために使用することができます. この用途は, 時間の経過と共にモノパイルの犠牲陽極が溶解するに従い, 陰極防食性が低下する様子を例示します. このモデルを使い, 金属の溶解と酸素の還元につながる同時電気化学反応を考慮に入れ (混成電位), 保護された鋼構造物の二次電流分布の電極反応速度を評価することができます.

モノパイルのジオメトリは, 鋼面に被覆処理を施した上部コンポーネントと, 被覆処理されていない下部鋼管から構成されます. また, その周囲は海水や泥なので, このように異なる環境に応じて変化させたターフェルの式の反応速度を使用します. このチュートリアルモデルでは, 12年間の時間依存スタディにより解を求めています. 調査の実施は, モノパイル全体が接地されている場合と, 遷移片が接地され, 集中抵抗を介して下部管が遷移片に接続されている場合の2つのケースについて行います. また, このモデルは, カスタマイズされた新しい Sacrificial Edge Anode (犠牲エッジ陽極) サブノードを使い, ジオメトリエッジの細長い犠牲陽極をモデル化します. この機能については, 二次電流分布 インターフェースで利用できるようになりました. このサブノードを使い, 時間依存シミュレーションで陽極が溶解するに従い変化する陰極防食性をモデル化することができます.

犠牲陽極の溶解を伴うモノパイルのチュートリアルモデルを示すアプリケーションライブラリへのパス:

Corrosion_Module/Cathodic_Protection/monopile