波動光学モジュールアップデート

波動光学モジュールをご使用の場合, COMSOL Multiphysics® バージョン 5.2a では、分極ドメイン機能が新しくなり, 非線形混合周波数と非線形パラメトリックプロセスのシミュレーションを容易に行える他, ビームエンベロープ インターフェースの柔軟性向上等, 機能が強化されました. 波動光学モジュールのアップデートの詳細は, 以下のとおりです.

分極ドメイン機能

異なる周波数領域インターフェースを新しい分極ドメイン機能に組み合わせることができます. これにより, 和周波発生と差周波発生, および非線形パラメトリック過程等の非線形周波数混合のシミュレーションが簡素化されます. 分極機能を 周波数領域 および ビームエンベロープ インターフェースのサブノードとして利用することができます.

分極ドメイン機能の利用例を示すアプリケーションライブラリへのパス:

Wave_Optics_Module/Verification_Examples/second_harmonic_generation_frequency_domain

新しいアプリ: 偏光ビームスプリッター

偏光ビームスプリッターのキューブは, 中間面に誘導体コーティングを施した2つの直角プリズムから構成されます. このキューブは, 入射波の一部を透過し, 残りを反射させます. プレート設計ではなく, このようなキューブ設計をビームスプリッターに用いることで, ゴースト像の回避という利点を得られます. この新しいアプリでは, 高い屈折率の層と低い屈折率の層を交互に積層した基本的なマクニール設計について説明されており, スプリッターを構成する層の数を選択することができます. プリズムの屈折率と誘導体スタックの層は, 直接入力することも, 定義済みの材料リストから入力することもできます. スイープは, 一定範囲の波長またはスポット半径にわたり行えます. このアプリでは, 全電場のノルム, および所定の波長またはスポット半径および偏光の第一波と第二波の電場が表示されます. また, 反射率と透過率も示されます.

アプリケーションライブラリへのパス:

Wave_Optics_Module/Applications/polarizing_beam_splitter

Screenshot of the Polarizing Beam Splitter app. The graphics window to the right displays the beam, incident from the left, that is reflected upwards by the thin-film stack applied to the boundaries between two prisms. Parameter sweeps over the wavelength or the spot radius can be performed. The electric field, the reflectance and transmittance, and the refractive index profiles can be displayed in the graphics window, in addition to the geometry and the mesh. Screenshot of the Polarizing Beam Splitter app. The graphics window to the right displays the beam, incident from the left, that is reflected upwards by the thin-film stack applied to the boundaries between two prisms. Parameter sweeps over the wavelength or the spot radius can be performed. The electric field, the reflectance and transmittance, and the refractive index profiles can be displayed in the graphics window, in addition to the geometry and the mesh.

偏光ビームスプリッターアプリのスクリーンショット: 右側のグラフィクスウィンドウには, 2つのプリズム間の境界に適用される薄膜スタックによって上方向に反射される, 左から入射されるビームが表示されます. 波長またはスポット半径にわたるパラメータースイープを行うことができます. グラフィクスウィンドウには, ジオメトリやメッシュに加え, 電場, 反射率と透過率, 屈折率プロファイルも表示することができます.

ユーザー定義の波数ベクトル指定

ユーザー定義の波数ベクトル指定という設定ウィンドウに新しいセクションを設けることで, ビームエンベロープ フィジックスインターフェースの柔軟性を高めています. これにより, ユーザー定義の位相を指定したい場合に完全整合層 (PML) ドメインに波数ベクトルを正しく設定できるようになりました. そのような状況の場合, デフォルト設定では不正確になる可能性があります. Type of phase specification list (位相タイプ指定リスト) ユーザー定義の波数ベクトル指定 を選択すると、新しい ユーザー定義の波数ベクトル指定 セクションが表示され, たとえば 完全整合層 PML ドメインの専用設定値を指定することができます.

アップデートされたアプリケーション: プラズモニックワイヤーグレーティングアナライザー

表面プラズモンを使用した回路は, プラズモンチップ, 光生成, ナノリソグラフィーなどの用途に用いられています. プラズモニックワイヤーグレーティングアナライザーアプリは, 屈折係数, 鏡面反射, 一次回折を, 誘電体基板のプラズモニックワイヤーグレーティングの入射角の関数として計算します. このモデルは格子の単位セルを記述し, フロケ境界条件によって周期性を定義します. ポストプロセス機能を使い, 単位セルの数を拡張したり, 表示を抽出して3次元表示することができます. アプリケーションには, 平面波の入射角を法線角からグレージング角まで格子構造上でスイープできる機能が組み込まれています. また, 導線の半径を変化させたり, 単位セルの周期性やサイズを変化させることができます. この他にも, 偏光の波長や方向等のパラメーターを変更することができます. このアプリケーションでは, 選択した入射角に対する複数の格子周期性の電場ノルム, すべての反射モードおよび透過モードの入射波ベクトルと波数ベクトル, 反射率と透過率の結果が示されます.

アプリケーションライブラリへのパス:

Wave_Optics_Module/Applications/plasmonic_wire_grating

プラズモニックワイヤーグレーティングアナライザアプリは, 誘導体基板の導線格子について, 透過波と反射波の回析効率と, 一次回析次数と二次回析次数を計算します.
波長, 偏光, 材料特性, 波の周期性, 半径を変更できます. プラズモニックワイヤーグレーティングアナライザアプリは, 誘導体基板の導線格子について, 透過波と反射波の回析効率と, 一次回析次数と二次回析次数を計算します. 波長, 偏光, 材料特性, 波の周期性, 半径を変更できます.

プラズモニックワイヤーグレーティングアナライザアプリは, 誘導体基板の導線格子について, 透過波と反射波の回析効率と, 一次回析次数と二次回析次数を計算します. 波長, 偏光, 材料特性, 波の周期性, 半径を変更できます.

新しいチュートリアルモデル: 周波数領域の第二高調波発生

電磁波スペクトルの可視および近可視領域の短波長領域でのレーザー光の発光は, 長波長領域での発光と比べて困難を伴います. 非線形周波数混合により, 既存のレーザー波長から短波長を新たに生成することが容易になります. このチュートリアルモデルでは, 基本周波数での光が, 第二高調波で光を発生させる, 非線形光学特性を持つ結晶を通過する第二高調波発生 (SHG) について説明します. チュートリアルモデルは, 各インターフェースに領域分極機能を用いることで, 2つの周波数領域インターフェース (基本波と第二高調波) の物理特性を組み合わせます. 結果には, 基本波から第二高調波へエネルギーが伝わり, 基本波の振幅が小さくなるのに対して, 第二高調波の振幅は結晶へ伝播する際にゼロから大きくなることが示されています. これらの結果は, 緩慢変化包絡線近似 (SVEA) の解析解と比較されます.

アプリケーションライブラリへのパス:

Wave_Optics_Module/Verification_Examples/second_harmonic_generation_frequency_domain

基本波 (上) と第二高調波 (下) の電場に関するy偏光のプロット.
第二高調波の振幅は, 基本波からエネルギーが伝わるに従い伝播に伴い大きくなります.
また, 第二高調波の波長は基本波の半分であることがプロットにより明白に示されています. 基本波 (上) と第二高調波 (下) の電場に関するy偏光のプロット. 第二高調波の振幅は, 基本波からエネルギーが伝わるに従い伝播に伴い大きくなります. また, 第二高調波の波長は基本波の半分であることがプロットにより明白に示されています.

基本波 (上) と第二高調波 (下) の電場に関するy偏光のプロット. 第二高調波の振幅は, 基本波からエネルギーが伝わるに従い伝播に伴い大きくなります. また, 第二高調波の波長は基本波の半分であることがプロットにより明白に示されています.

新しいチュートリアルモデル: シングルビットホログラム

2つのコヒーレント光ビームが交差する時に干渉縞が現れます. この現象が光感受性材料で発生し, 強度が一定の曝露閾値よりも大きい場合, 干渉縞は屈折率の変調として材料に記録され, ホログラムが作成されます. このチュートリアルモデルでは, 1つのビームが左側の境界からホログラム材料に入射し, 別のビームが最上部の境界から入射します. こうすることで, データの記録と読み出しなど, ビットバイビット方式のホログラムデータストレージをシミュレートします. 記録プロセスでは, 2つのビームが交差して干渉縞ができ, シングルビットデータを持つホログラムに記録されます.

アプリケーションライブラリへのパス:

Wave_Optics_Module/Gratings_and_Metamaterials/single_bit_hologram

記録プロセス時の干渉縞のプロット:参照ビームは左から入射し, 物体ビームは上から入射します.
左側のプロットは2つのビームを加算した電場を表すのに対して, 右側のプロットは2つの干渉ビームの強度パターンを表します. 記録プロセス時の干渉縞のプロット:参照ビームは左から入射し, 物体ビームは上から入射します. 左側のプロットは2つのビームを加算した電場を表すのに対して, 右側のプロットは2つの干渉ビームの強度パターンを表します.

記録プロセス時の干渉縞のプロット:参照ビームは左から入射し, 物体ビームは上から入射します. 左側のプロットは2つのビームを加算した電場を表すのに対して, 右側のプロットは2つの干渉ビームの強度パターンを表します.