バッテリ&燃料電池モジュールアップデート
COMSOL Multiphysics® バージョン 5.3a のバッテリ&燃料電池モジュールではリチウムイオン電池, Baker-Verbrugge 拡散モデルの新しいアプリケーションと, 新しいチュートリアルが増えました. 詳細は以下をご覧ください.
新しいデモアプリ:電池設計アプリ
新しい電池設計アプリは特定の目的のために最適化されたリチウムイオン電池の仕様を開発するツールです. このアプリは特定の負荷サイクルに対する容量, エネルギー効率, 熱生成, 寄生反応による容量損失を計算します. 電池キャニスター形状, 部品 (セパレーター, 電流コレクター, 電極) の厚み, 陽極材料, 多孔質材料の相体積率などの電池設計パラメーターを変化させることができます. 負荷サイクルは一定電流負荷による充電-放電サイクルで, 充電と放電ステージでは異なります. 生成熱と熱質量に基づいた一様な内部電池温度を仮定して電池温度を計算します. 冷却は外気温度パラメーターと熱伝導係数で定義します.
アプリケーションライブラリパス:
Batteries_&_Fuel_Cells_Module/Applications/li_battery_designer
粒子挿入ノードの新しい拡散モデル
「リチウムイオン電池」インターフェースと「バイナリ電極電池」インターフェースにおける新しいBaker-Verbrugge 拡散モデルは電極粒子の拡散係数を挿入反応の平衡ポテンシャルに基づいて補正します. 一般的に, Baker-Verbrugge モデルは電荷状態依存の輸送率とステージング現象を捉えるのに向いています.
アプリケーションライブラリパス:
Batteries_&_Fuel_Cells_Module/Batteries,_Lithium-Ion/li_battery_multiple_materials_1d
新しいチュートリアルモデル:ヘテロリチウム電池
近年のハイファイ電池モデリングの傾向はヘテロモデルと呼ばれる多孔質電極構造をモデル化することです. この新しいチュートリアルはリチウムイオン電池単位セルの振舞いを, 理想化された3次元ジオメトリを使ってモデル化します. ジオメトリは多孔質電極の詳細な構造を模擬します. このようなモデルをヘテロモデルと呼びます. 多孔質電極を表現する典型的な一様化アプローチと異なり, ヘテロモデルは多孔質電極と電極粒子の実際の形状を表現します. このモデルは構造力学と連成して粒子のフォン・ミーゼス応力を計算します. この応力はサイクル疲労の予測に使われ, サイクル中にできる割れによるパフォーマンス劣化を予測します. 「リチウムイオン電池」インターフェースの「電極反応」ノードはこの新しいチュートリアルモデルで使われている「リチウム挿入反応速度タイプ」に更新されています.
お知らせ:このモデルには構造力学モジュールも追加で必要です.
アプリケーションライブラリパス:
Batteries_&_Fuel_Cells_Module/Batteries,_Lithium-Ion/heterogeneous_li_battery
新しいチュートリアルモデル:集中リチウム電池パラメーター推定
この新しいチュートリアルモデルは”ブラックボックス”のアプローチで電池モデルを定義します. 電池電極の設計や材料選択などの内部構造の知識なしに少ない集中パラメーターを元にします. モデルへの入力は電池容量, 初期電荷状態 (SOC), SOC 対開放回路電圧曲線で, 負荷サイクル実験データを組み合わせます. 集中パラメーターの推定は「最適化」インターフェースを用いて達成します.
お知らせ:このモデルには構造力学モジュールも追加で必要です.
アプリケーションライブラリパス:
Batteries_&_Fuel_Cells_Module/Batteries,_Lithium-Ion/lumped_li_battery_parameter_estimation