ローターダイナミクスモジュールアップデート
COMSOL Multiphysics® バージョン 5.3a のローターダイナミクスモジュールでは6つのタイプの回転要素ベアリング, ローターダイナミクスモデルと固体モデルをつなげる新しいマルチフィジックスカップリング, 新しいハイドロスラストベアリングが導入されました. これらの機能の詳細については以下をご覧ください.
回転要素ベアリング
6つのタイプの回転要素ベアリングが追加されました:
- 深溝ボールベアリング
- 角接触ボールベアリング
- 自己位置調整ボールベアリング
- 球ローラーベアリング
- 円筒ローラーベアリング
- テーパーローラーベアリング
それぞれのベアリングは1列または2列の回転要素を持ちます. モデルは回転要素と内側, 外側レースとの接触剛性を表す非線形性を含みます.
6つの異なるベアリングタイプのスケッチとジオメトリパラメーター. 前面ビュー (左下) はいくつかの回転要素だけが荷重を支えるのを示しています.
ハイドロベアリングと固体モデルの連成
新しいマルチフィジックスカップリング, 「固体-ベアリング」が追加されました. 「ハイドロベアリング」インターフェースの軸頸ベアリングと「固体力学」インターフェース, または, 「マルチボディダイナミクス」インターフェースの移動固体パーツを連結します. ベアリングは固定にすることも, 可動パーツ上に搭載することもできます.
ハイドロスラストベアリング
「ハイドロスラストベアリング」インターフェースは COMSOL Multiphysics® バージョン 5.3a の新機能, 「ハイドロスラストベアリング」を計算することができます. このベアリングタイプは「チルトパッド」, 「テーパー」, 「ユーザー定義」から選択することができます. チルトパッドベアリングにはポイントピボットとラインピボットのオプションがあります. 定式化には潤滑油のキャビテーションも考慮されています.
デフォルトプロットの改善
デフォルトプロットの改善
構造力学フィジックスインターフェースのデフォルトプロットがさらに情報量のある可視化になりました. それに対応してアプリケーションライブラリのチュートリアルも更新されました. 新しくなった点の主要なものは次の通りです:
- フォン・ミーゼス応力プロットのカラーテーブルがレインボーライトになりました.
- 固有周波数と線形バックリングスタディのモード形状プロットのカラーテーブルが AuroraBorealis になりました.
- モード形状プロットにおいて, 物理的な意味を持たないモード振幅のレジェンドをなくしました.
- 「梁」と「トラス」インターフェースの断面力プロットが, カラー範囲が対称であるウェーブになりました. これにより張力と圧縮の区別が一目でできるようになりました.
- 接触解析において接触圧力プロットがラインプロット (2D) またはコンター (3D) として加わりました.
- 応力線形化のデフォルトプロットにレジェンドが加わりました.
- 「シェル」インターフェースの非変形ジオメトリプロットが新しい色になりました.
- 塑性やクリープなどの材料モデルが使われる場合, 有効塑性歪など, 関連する歪量のコンタープロットが応力プロットと重ねて描画されます.
- 非線形構造材料モジュールとジオメカにクスモジュールに適用されます.
- 「疲労解析」インターフェースでは予想される破壊サイクルと使用因子にトラフィックカラーが使用されます. 疲労解析モジュールに適用されます.
新しいチュートリアルモデル:交差結合したベアリング力によって影響を受けるターボチャージャーの安定性
交差結合力はハイドロベアリングの中でしばしばローターにおける好ましくないダンピングとして動作します. 臨界速度近くではターボチャージャーに制御不可能な振動につながり, ベアリングの故障の危険性をもたらすことがあります. 例えば, ローター上の交差結合力の影響を解析することができます. このモデルではそのような振動をどうすれば低減できるかを解析します.
500 RPM で回転する系の第1固有モード. ウォーターフォールダイアグラムは回転数と励起周波数の関数としての変位振幅を示しています.
アプリケーションライブラリパス:
Rotordynamics_Module/Automotive_and_Aerospace/turbocharger_stability_analysis
新しいチュートリアルモデル:ローラーベアリングにおけるクリアランスがローターの非同期振動に与える影響
ベアリングのクリアランスはローターの非同期振動を避けるために最小にしておかなければなりません. しかし, 一方で, クリアランスを小さくしすぎるとベアリングの耐性を低下させてしまいます. このチュートリアルでは, 異なる径方向クリアランスに対する非線形接触による振動を比較します.
ベアリングクリアランスに対する動的応答性. クリアランスが大きくなるとベアリングへの力が大きく, また間欠的になります.
アプリケーションライブラリパス
Rotordynamics_Module/Tutorials/nonsynchronous_rotor_vibration_with_roller_bearing