音響モジュール

新しいアプリ: Absorptive Muffler Designer

マフラーは, たとえば燃焼機関によって発せられるノイズ減衰に使用します. 通常, 特定の周波数レンジに有効です. 減衰は, 伝送損失で測定します. 伝送損失では, 周波数の関数として, 減衰量 (単位 dB) が得られます.

Absorptive Muffler Designer シミュレーションアプリケーションは, 多孔性ライニングを施した簡単な共鳴マフラーのスタディや設計に使用します. 本アプリケーションでは, 選択した任意のマフラーで, 誘導減衰と抵抗減衰の両方の解析ができます.

本アプリケーションでは, マフラーの寸法, 周囲動作条件, 多孔質ライナーの材料特性の変更後に, その結果を検討できます.

Absorptive Muffler Designer アプリケーションのユーザーインタフェース. Absorptive Muffler Designer アプリケーションのユーザーインタフェース.

Absorptive Muffler Designer アプリケーションのユーザーインタフェース.

新しいアプリ: One-Family House Acoustics Analyzer

One-Family House Acoustics Analyzer アプリケーションでは, 部屋数 10 室の 2 階建て家屋の隣り合った部屋における雑音伝播を評価します. 本アプリケーションは, 家庭内に相互作用的に配置された音源数に基づいて家屋内の音圧レベル (SPL) 分布を決定します.

音圧レベル (SPL) 分布は, エンジニアや建築家が, 家庭空間, オフィス空間, あるいは作業場など, 隣り合った部屋の配置内の雑音環境を究明する古い部屋の音響問題を指摘します. これは, たとえば, 音響環境が騒音規制や労働規制を満たしているかを確認するために重要な情報です.

エンジニアや建築家は, 本アプリケーションのようなアプリケーションを現場に持ち込んで, さまざまな騒音源シナリオや壁吸収特性をテストできます. そして, シミュレーション結果を実際の測定値と比較できます. 本アプリケーションでは, 住宅のさまざまな部屋で複数の騒音源を配置, 削除, 定義して, 得られる SPL 分布を調べることができます.

これらの音響は, 短い時間で効率的に SPL 分布を調べられる COMSOL Multiphysics の Acoustic Diffusion Equation フィジックスインタフェースでモデル化します.

各種雑音源を表示した One-Family House Acoustics Analyzer アプリケーションのユーザーインタフェース. 各種雑音源を表示した One-Family House Acoustics Analyzer アプリケーションのユーザーインタフェース.

各種雑音源を表示した One-Family House Acoustics Analyzer アプリケーションのユーザーインタフェース.

新しいアプリ: Organ Pipe Designer

Organ Pipe Designer では, オルガンパイプの設計を調査して, 変更した設計のサウンドとピッチをユーザーが使い慣れたアプリケーションで再生できます. パイプサウンドには, さまざまな振幅の各種調波の効果が含まれます.

オルガンパイプは, COMSOL Multiphysics の Pipe Acoustics, Frequency Domain インタフェースでモデル化します. このシミュレーションアプリケーションでは, パイプの半径と壁厚の他, 周囲圧力や温度によって最初の基本共振周波数がどのように変化するかを解析します.

本アプリケーションを使用すると, 基本周波数や調波などの周波数応答一式を特定できます. Java® コードで記述したメソッドにより, 本アプリケーションは応答のすべての高調波の場所と振幅を検出するため, COMSOL Multiphysics ユーザーインタフェースの組み込み機能を超えた解析ができます.

新しいアプリ: Acoustic Reflection Analyzer for a Water-Sediment Interface

各種構造の表面の音響反射を解析することは, さまざまな工学専門分野で重要です. Acoustic Reflection Analyzer for a Water-Sediment Interface アプリケーションでは, 水中音響学とソナーアプリケーションに, 解析が関係あるそのようなシステムを取り上げています.

本アプリケーションは, さまざまな周波数と入射角で散乱する水堆積物界面の平面音響波の反射係数と吸収係数を解析します. さらに, 解析した周波数についてはランダム入射吸収係数が決まります.

水堆積物システムの記述では, 本アプリケーションは COMSOL Multiphysics の Poroelastic Waves インタフェースを使用し, あらゆる多孔性物質の結合音響波と弾性波をモデル化します (ビオー理論).

全圧を表示している Acoustic Reflection Analyzer for a Water-Sediment Interface アプリケーションのユーザーインタフェース. 全圧を表示している Acoustic Reflection Analyzer for a Water-Sediment Interface アプリケーションのユーザーインタフェース.

全圧を表示している Acoustic Reflection Analyzer for a Water-Sediment Interface アプリケーションのユーザーインタフェース.

オクターブバンドプロット

新しい専用の音響プロットの Octave Band Plot (オクターブバンドプロット) では, 周波数領域伝達関数, 応答, 感度曲線, 挿入, 伝送損失を表現できます. このプロット方式には, 定義済みの重み付け (Z, A, C, ユーザー定義) と, 希望プロットスタイル (オクターブバンド, 1/3 オクターブバンド, あるいは連続曲線) などいくつかの音響固有機能が組み込まれています. これらのバンドオプションは, 中間周波数や帯域幅で定義した所定の周波数における二次圧などの積算値の平均値のプロットに対応しています.

オクターブバンドプロットに対するデータ入力は, 周波数領域解であり, 周波数領域スタディやパラメトリック周波数スイープで得られる音圧などがあります. オクターブバンドプロットでは, 所定の式タイプが dB スケールで自動的にプロットされるため, 式を変数として定義する必要がなく, 後処理が簡単です. プロットの幾何学的入力エンティティレベルには, グローバル, ポイント, エッジ, 境界, または領域があります. 最後の 3 つについては, 平均値が自動的に生成されます. したがって, モデル入口の平均出力の定義やプロットが簡単にできます.

プロット入力のオプションには, 次の 3 つがあります:

  • Amplitude (振幅. あるポイントで計測した圧力など) * Power (出力. マフラーへの入射強度など) * Transfer function (伝達関数. マイクロフォンの電圧と圧力間の電子音響伝達関数など)

応答を表すプロットスタイルには, 次の 3 つがあります:

  • オクターブ * 1/3 オクターブ * 連続

応答には重み付けも適用できます:

  • Z, A, C の重み付け (IEC 61672-1 標準準拠) * ユーザー定義の重み付け (周波数に依存できる任意のユーザー定義の重み付けを入力)

連続曲線および 1/3 オクターブバンドとしてプロットした [スピーカードライブチュートリアルモデル] の感度曲線 (http://www.comsol.com/model/loudspeaker-driver-1369) 連続曲線および 1/3 オクターブバンドとしてプロットした [スピーカードライブチュートリアルモデル] の感度曲線 (http://www.comsol.com/model/loudspeaker-driver-1369)

連続曲線および 1/3 オクターブバンドとしてプロットした [スピーカードライブチュートリアルモデル] の感度曲線 (http://www.comsol.com/model/loudspeaker-driver-1369)

2 種類のライナー構成の 1/3 オクターブバンドとしてプロットした [吸音マフラーチュートリアルモデル] の伝送損失 (http://www.comsol.com/model/absorptive-muffler-1367) 2 種類のライナー構成の 1/3 オクターブバンドとしてプロットした [吸音マフラーチュートリアルモデル] の伝送損失 (http://www.comsol.com/model/absorptive-muffler-1367)

2 種類のライナー構成の 1/3 オクターブバンドとしてプロットした [吸音マフラーチュートリアルモデル] の伝送損失 (http://www.comsol.com/model/absorptive-muffler-1367)

圧力音響の消散エネルギー変数

圧力音響, 多孔体音響, 狭領域音響については, すべての流体モデルについて, 消散出力密度をシミュレートできるようになりました. この変数を acpr.Q_pw と呼びます. 結果を操作するときに, Add/Replace Expressions (式を追加/置換) メニューの Heating and losses (加熱と損失) セクションの下に表示されます (以下にリンク先の画像を参照). この式は, 進行波の平面波限界内で有効です. 定義済みの変数は, 組織ファントムの集束超音波誘導加熱 チュートリアルモデルで使用します. このモデルでは, 消散エネルギーが組織ファントムを加熱します.

Pressure Acoustics (圧力音響) の Normal Velocity (法線速度) と Normal Displacement Boundary Conditions (法線変位境界条件)

Pressure Acoustics インタフェースで, Normal Acceleration (法線加速度) 境界条件に, 法線速度または垂直変位を規定する 2 つの境界条件が加えられました. これで, 音源のモデリング手順が簡単になりました. 例として, Generic 711 Coupler – An Occluded Ear-Canal Simulator (ジェネリック 711 カプラー – 閉塞外耳道シミュレータ) チュートリアルモデルがありますが, ここでは, 音源は Normal Displacement (法線変位) 境界条件で定義します.

Poroelastic Waves and Elastic Waves Physics インタフェースのその他の機能

Poroelastic Waves フィジックスインタフェースと Elastic Waves フィジックスインタフェースがアップデートされ, いくつかの機能と境界条件で強化されました. これらのインタフェースには, 以下の機能もあります.

  • Domain (領域) 機能: * Spring Foundation (スプリング基板) * Added Mass (付加質量) * Boundary Features (境界機能): * Symmetry (対称性) * Rigid Connector (剛性連結器) * Thin Elastic Layer (薄い弾性層) * Spring Foundation (スプリング基板) * Added Mass (付加質量) * Edge (エッジ機能): * Fixed Constraint (固定制約) * Prescribed Displacement (規定変位) * Edge Load (エッジ荷重) * Spring Foundation (スプリング基板) * Added Mass (付加質量) * Point (点) 機能: * Fixed Constraint (固定制約) * Prescribed Displacement (規定変位) * Spring Foundation (スプリング基板) * Point Load (点荷重) * Point Load on Axis (軸上の点荷重) * Ring Load (リング荷重)

新しい境界条件と領域条件を入力した Poroelastic Waves インタフェースのフィジックスメニュー

新しい境界条件と領域条件を入力した Poroelastic Waves インタフェースのフィジックスメニュー

新しい境界条件と領域条件を入力した Poroelastic Waves インタフェースのフィジックスメニュー

すべての音響インタフェースでアップデートした強度変数

すべての音響インタフェースで, 強度変数をアップデートしました. そのため, フィジックスインタフェースやスタディタイプを問わず一貫した内容になりました. 強度は, 周波数領域 (1 つの期間内の平均値) で定義し, いわゆる瞬時強度は時間領域で定義しました.Thermoacoustics インタフェースと Linearized Navier-Stokes インタフェースの強度変数には, 粘性応力寄与を導入しました. これらの変数は, Add/Replace Expression (式を追加/置換) ボタンをクリックすると結果として得られます.

Added Mass (付加質量) のフル質量マトリックス入力

Added Mass (付加質量) 機能は, フル質量マトリックスを入力できるよう拡張しました.

Stationary Analysis (静止解析) の Prescribed Velocity (規定速度)/Acceleration Interpretation (加速度解釈)

Prescribed Velocity (規定速度) ノードや Prescribed Acceleration (規定加速度) ノードがモデルにある場合, これらの境界条件を静止解析でどのように解釈するかを定義できます. ノードは制約 (規制) または無視 (フリー) として扱うことができます. この機能は, 周波数領域, 時間依存, 静止タイプなど, 複数の複合解析タイプがあるモデルやアプリケーションに最適です.

マイナーアップデートとバグフィックス

新しい COMSOL Multiphysics リリースでは, いくつかのマイナーアップデートとバグフィックスが実施されました.

*Thermoacoustics インタフェースと Linearized Navier-Stokes インタフェースで使用する PARDISO ソルバーは, このたび Multithreaded (マルチスレッド) 前方求解オプションと後方求解オプションをデフォルトで使用するようになりました. そのため, 処理速度の基本的なスピードアップととともに, 固有振動数問題で顕著な効果が得られました. *Pipe Acoustics インタフェースではモデル入力をアップデートしました. *Thermoacoustics インタフェースは, このたび, 消散熱変数と粘性出力密度変数のアップデートとともに, エントロピー変数 ta.s_entropy を後処理用に導入しました. *Acoustic Diffusion Equation インタフェースでは, ユーザー定義のバンド構造挙動をアップデートしました. *曲線境界のロッキングを避けるため, Thermoacoustics インタフェース, Frequency Domain インタフェース, Linearized Navier-Stokes インタフェースでは, スリップ条件をアップデートしました.

アプリケーションギャラリーの新しいチュートリアル

4 つの新しいチュートリアルモデルを, 弊社のオンライン アプリケーションギャラリー に追加しました.

音響拡散方程式で解析したマンションの音響 音響拡散方程式で解析したマンションの音響

音響拡散方程式で解析したマンションの音響

Vibrating Plate in a 2D Viscous Parallel Plate Flow (2D 粘性平行板流の振動板)

  • このシンプルな 2D チュートリアルモデルは, Linearized Navier-Stokes, Frequency Domain, Solid Mechanics, Creeping Flow の各種フィジックスインタフェースを結合して, 2D 粘性平行板流内の振動の振動をモデル化します.

Apartment Acoustics Analyzed Using the Acoustic Diffusion Equation (音響拡散式で解析したマンションの音響)

  • このチュートリアルモデルは, ワンルームマンションの TV の音響分布を計算します. 本シミュレーションでは, Acoustic Diffusion Equation インタフェースで局所音圧レベルをすばやくシンプルに調べます. 精度を上げるため, 直接音の解析式をリビングルームに追加しました.

Acoustic-Solid Interaction with Two Perfectly Matched Layers (2 つの完全整合層による音響-固体の相互作用 (PML))

  • このシンプルなチュートリアルモデルでは, 2 つの完全整合層 (PML) のモデルのセットアップ方法を紹介します. モデルの 1 つは圧力音響領域用, もう 1 つは固体力学領域用です.

Shape Optimization of a Tweeter Waveguide (ツイーター導波管の形状の最適化)

  • このチュートリアルモデルでは, COMSOL Multiphysics の最適化機能で重要な設計制約を満足した新型デザインを開発する方法を説明します. このシミュレーションでは, シンプルなスピーカー形状を最適化します. 制約の例としては, スピーカーの半径や, 目的とする最低達成可能音圧レベルがあります.