疲労解析モジュールアップデート

疲労解析モジュールをご使用の場合、COMSOL Multiphysics® バージョン 5.2a では、圧縮荷重、接触疲労、内部疲労、スポーリングを迅速かつ正確にモデル化できるよう調整された Dang-Van モデルが新たに追加されました。 新しく機能を強化したチュートリアルモデルでは、この新しい機能の用途が説明されています。 疲労解析モジュールのアップデートの詳細は、ここをクリックしてください。

内部疲労のモデル化

応力ベースの疲労モデルファミリーの機能を強化し、Dang-Van モデルを追加しました。 この新しいモデルでは、静水圧による圧縮状態の感受性が疲労予測に組み込まれています。 このため、Dang-Van モデルは圧縮荷重の評価や接触疲労解析に適しています。 このモデルは、例えば軸受けやレール用途で見られるようなスポーリングが発生する前に内部疲労の発生を予測することができます。

Dang-Van モデルに基づき評価した、表面硬化処理を施した材料の内部疲労。 Dang-Van モデルに基づき評価した、表面硬化処理を施した材料の内部疲労。
Dang-Van モデルに基づき評価した、表面硬化処理を施した材料の内部疲労。

Dang-Van モデルは、1D、2D、3D のエンティティで評価することができます。 ただし、内部疲労をモデル化する場合は、3D ドメインレベルの評価が最も適しています。 しかし、最も大きな応力は通常、表面より約 10 ~ 100 μm 下にあり、正確な解を得るには深度全体を微細に離散化する必要があるため、疲労解析には時間がかかる可能性があります。 また、接触荷重が曲面に沿って伝達される場合も、2つの表面寸法に沿って微細なメッシュが必要となります。 しかし、計算は簡単に並列処理を行えるので、複数のプロセッサで計算することで評価時間が短縮されます。

内部疲労のモデル化と Dang-Van モデルを例示するアプリケーションライブラリへのパス:

Fatigue_Module/Stress_Based/standing_contact_fatigue

Fatigue_Module/Stress_Based/shaft_with_fillet

Fatigue_Module/Stress_Based/linear_guide

疲労モデルのパラメータ化

ほとんどの疲労モデルの設定オプションはパラメータ化されています。 つまり、パラメータや変数を疲労モデルの設定に割り当て、これらが疲労に与える影響をパラメトリックスタディで評価することができます。 ただし、累積損傷機能の 平均値ビンの数範囲ビンの数 の2つのオプションはパラメータ化できません。

疲労モデルでのパラメータ化の使用例を示すアプリケーションライブラリへのパス:

Fatigue_Module/Stress_Life/bracket_fatigue

異なる環境条件および製造条件の SN 曲線の編集に用いたストレス係数のパラメトリックスタディ。 異なる環境条件および製造条件の SN 曲線の編集に用いたストレス係数のパラメトリックスタディ。

異なる環境条件および製造条件の SN 曲線の編集に用いたストレス係数のパラメトリックスタディ。

新しいチュートリアルモデル:持続性接触疲労

持続性接触疲労テストは、表面下の亀裂成長試験に用いる手順です。 このようなテストでは、球体を被試験材料に押し当て、高圧縮と低圧縮のサイクル荷重を印加します。 2つの荷重間で並進運動は発生しません。

一定期間後、平坦な物体の表面に表面亀裂が見られますが、さらに部品を詳しく解析すると表面下に複数の亀裂があることが分かります。 表面は元々硬化処理されているので、物体の残りの材料特性と比べて表面の材料特性が変化しています。 この表面硬化手順は、物体の材料強度、硬化、疲労特性に影響を与えますが、残留ストレスが物体の深部まで導入されます。 疲労を与えた材料では、影響の程度が3つの層に明確に分かれている様子が見てとれます。 表面近くの部分は大きな影響を受けているのに対し、中心部の材料物性は影響を受けていません。 これら2つの層の境界部分には遷移層があり、材料特性と残留応力の両方とも大きな勾配を持ちます。 これらの影響をすべて、荷重サイクルのシミュレーションに組み入れます。

この例では、Dang-Van モデルを使い疲労をシミュレートしています。 結果には、硬化プロセスの残留応力と、球体のへこみから生じた塑性変形に対する構造応答が組み合わさった応力が示されます。 可塑性は1回目の荷重サイクルでのみ起こり、以降の荷重サイクルは本来は弾性です。 このため、2回目の荷重サイクルは安定した荷重サイクルとして見ることができ、以降の疲労スタディで用いられます。

持続性接触疲労を表したチュートリアルモデルを示すアプリケーションライブラリへのパス:

Fatigue_Module/Stress_Based/standing_contact_fatigue

表面硬化処理を施した材料のピーク荷重時の有効応力。
最大応力は、表面のすぐ下に見られます。
また、遷移層と中心部との間の界面で最大になる局所的応力があります。 表面硬化処理を施した材料のピーク荷重時の有効応力。 最大応力は、表面のすぐ下に見られます。 また、遷移層と中心部との間の界面で最大になる局所的応力があります。

表面硬化処理を施した材料のピーク荷重時の有効応力。 最大応力は、表面のすぐ下に見られます。 また、遷移層と中心部との間の界面で最大になる局所的応力があります。

新しいチュートリアルモデル: リニアガイドの転がり接触疲労

製造者の仕様の上限値を超えてリニアガイドに荷重をかけた場合、接触荷重により疲労スポーリングが導入されるかどうかという点が懸念されます。 このシステム解析では、リニアガイド全体を解析したところ、ダメージを与える接触荷重のほとんどはレールのレースウェイで発生しています。

スポーリングは表面下の疲労亀裂によって発生し始めるので、Dang-Van モデルに基づいた疲労評価を実施します。 曲面を摺動する接触荷重の疲労評価には、制御されたメッシュが必要となります。 要素のサイズは、表面の接触圧の解を正しく得られるよう十分に小さいものである必要があります。 また、転がり接触の解析では、接触圧は表面に動的にかかるので、移動接触部分全体を小さな要素で構成する必要があります。 さらに、接触解析の最大せん断応力は表面下に見られるため、モデルの奥行き全体にわたり細かいメッシュが必要となります。 このモデルでは、このような課題の対処方法が解説されています。

リニアガイドの転がり接触疲労の例を表すモデルを示すアプリケーションライブラリへのパス:

Fatigue_Module/Stress_Based/linear_guide

転がり接触疲労に供するリニアガイドのシミュレーションで使用するメッシュ。 転がり接触疲労に供するリニアガイドのシミュレーションで使用するメッシュ。

転がり接触疲労に供するリニアガイドのシミュレーションで使用するメッシュ。

更新されたチュートリアルモデル: フィレット部のあるシャフトに非比例荷重をかけた疲労解析

このチュートリアルモデルは、Dang-Van モデルに基づいた疲労予測を付加して機能を拡張しています。 次に、Findley、Matake、Dang-Vanの3つの応力ベースのモデルの結果を互いに比較し、差分についてドキュメントで説明しています。

更新されたチュートリアルモデルを示すアプリケーションライブラリへのパス:

Fatigue_Module/Stress_Based/shaft_with_fillet

更新されたチュートリアルモデル: ブラケット — 疲労評価

ブラケットチュートリアルモデルの疲労評価は、パラメトリックスタディを付加して機能を拡張しています。 疲労解析のパラメトリックスタディを実施する方法が手順を追って説明されており、初心者でもこの機能の使用方法を学びやすいよう工夫されています。

更新されたブラケットチュートリアルモデルを示すアプリケーションライブラリへのパス:

Fatigue_Module/Stress_Life/bracket_fatigue