非線形構造材料モジュールアップデート
COMSOL Multiphysics® version 5.3a の非線形構造材料モジュールに Lagoudas もしくは Souza-Auricchio によってモデル化された形状記憶合金, 多孔質塑性機能などの新しい機能が追加されました. 詳細は以下をご覧ください.
形状記憶合金
形状記憶合金は医療アプリケーションで特に需要が増えています. 医療における形状記憶合金の力学的な記述は複雑です. それはこれらの材料の興味ある振舞いが相転移によっておきるものだからです. 相転移は力学応力からも, 温度変化からも起こすことができます. 形状記憶合金を記述する Lagoudas と Souza-Auricchio による数学的モデルが追加されました. どちらのモデルもオーステナイトとマルテンサイト材料特性を定義したり, 開始と終了温度などの相転移特性を定義することができます. これに関連して, 伝熱モジュールにおいても形状記憶合金中の熱伝達のための新しいインターフェースが加わりました.
形状記憶合金中の熱伝導
形状記憶合金 (SMA) の振舞いは温度と密接に関わっており, 構造変化 (オーステナイト ↔ マルテンサイト) によってエネルギーを放出, または吸収し, 合金の熱特性を変化させます. 伝熱インターフェースの「形状記憶合金」機能はマルテンサイトとオーステナイトの体積比率を説明し, 各相の熱特性から有効熱特性が定義されます. この「形状記憶合金」機能は新しい非線形構造材料モジュールの「形状記憶合金」機能と組み合わされるように作られています. モデルに組み込むには, メインの伝熱インターフェースノードの「合金の熱伝導」チェックボックスを選択します. この機能は「ドメイン境界条件」として働きます.
多孔質塑性の機能強化
多孔質塑性材料モデルがプラスティック硬化とボイド生成機能で強化されました.
デフォルトプロットの改善
構造力学フィジックスインターフェースのデフォルトプロットがさらに情報量のある可視化になりました. それに対応してアプリケーションライブラリのチュートリアルも更新されました. 新しくなった点の主要なものは次の通りです:
- フォン・ミーゼス応力プロットのカラーテーブルがレインボーライトになりました.
- 固有周波数と線形バックリングスタディのモード形状プロットのカラーテーブルが AuroraBorealis になりました.
- モード形状プロットにおいて, 物理的な意味を持たないモード振幅のレジェンドをなくしました.
- 「梁」と「トラス」インターフェースの断面力プロットが, カラー範囲が対称であるウェーブになりました. これにより張力と圧縮の区別が一目でできるようになりました.
- 接触解析において接触圧力プロットがラインプロット (2D) またはコンター (3D) として加わりました.
- 応力線形化のデフォルトプロットにレジェンドが加わりました.
- 「シェル」インターフェースの非変形ジオメトリプロットが新しい色になりました.
- 塑性やクリープなどの材料モデルが使われる場合, 有効塑性歪など, 関連する歪量のコンタープロットが応力プロットと重ねて描画されます.
- 非線形構造材料モジュールとジオメカにクスモジュールに適用されます.
- 「疲労解析」インターフェースでは予想される破壊サイクルと使用因子にトラフィックカラーが使用されます. 疲労解析モジュールに適用されます.

この例では, 応力プロットではレインボーライトカラーテーブルによる明るい色に加えて, 塑性歪のコンターおよび接触圧のコンターがデフォルトでプロットされています. 比較のために前のバージョン 5.3 のデフォルトプロットを示しています.
新しいチュートリアルモデル:形状記憶合金の単一軸負荷
このチュートリアルモデルでは3つの異なる負荷を与えて形状記憶合金の異なる振舞いを見ます:
- 異なる温度で負荷をオン・オフさせ, 高温で超塑性を示す
- 定温で部分的に負荷をオン・オフさせ, 大きなヒステリシス効果を示す
- 残留歪を発生させる負荷サイクルの後, 温度を上昇させることで歪をゼロにし, 形状記憶効果を示す
アプリケーションライブラリパス:
Nonlinear_Structural_Materials_Module/Shape_Memory_Alloys/uniaxial_loading_of_shape_memory_alloy