波動光学モジュールアップデート

COMSOL Multiphysics® バージョン 5.3a の波動光学モジュールでは, 新しいデフォルトのフィジックス制御メッシュ, 厳密ガウシアンビームの背景場, 新しいポストプロセス変数, デフォルトプロット, グローバル評価が導入されています.

フィジックス制御メッシュ

電磁波(周波数領域)インターフェースと電磁波(ビームエンベロープ)の両方でフィジックス制御メッシュがデフォルトになりました. フィジックス制御メッシュアルゴリズムは, 一般的な周波数依存材料特性, ドルーデ・ローレンツ, デバイ, セルマイアー分散モデルを取り扱えるように更新されました. フィジックス制御メッシュはモード解析シミュレーションでも使用できます. 電磁波(ビームエンベロープ)インターフェースではデフォルト設定が3Dではスウェプトメッシュ, 2Dではマップトメッシュになり, オプションとして, それぞれ, 4面体メッシュと3角形メッシュが選択できます.

A screenshot of the physics-controlled mesh settings for Electromagnetic Waves, Beam Envelopes. Directional Coupler チュートリアルモデルで例示されている「電磁波 (ビームエンベロープ)」インターフェース設定の新しい「フィジックス制御メッシュ」セクション. Directional Coupler チュートリアルモデルで例示されている「電磁波 (ビームエンベロープ)」インターフェース設定の新しい「フィジックス制御メッシュ」セクション.

新しいフィジックス制御メッシュを使った例題のアプリケーションライブラリパス:
Wave_Optics_Module/Gratings_and_Metamaterials/hexagonal_grating
Wave_Optics_Module/Gratings_and_Metamaterials/negative_refractive_index
Wave_Optics_Module/Gratings_and_Metamaterials/plasmonic_wire_grating
Wave_Optics_Module/Optical_Scattering/beam_splitter
Wave_Optics_Module/Optical_Scattering/brewster_interface
Wave_Optics_Module/Optical_Scattering/nanorods
Wave_Optics_Module/Optical_Scattering/scattering_nanosphere
Wave_Optics_Module/Verification_Example/dielectric_slab_waveguide
Wave_Optics_Module/Verification_Example/fresnel_equations
Wave_Optics_Module/Verification_Example/symmetric_laser_cavity
Wave_Optics_Module/Waveguides_and_Couplers/directional_coupler
Wave_Optics_Module/Waveguides_and_Couplers/optical_ring_resonator
Wave_Optics_Module/Waveguides_and_Couplers/photonic_crystal
Wave_Optics_Module/Waveguides_and_Couplers/step_index_fiber_bend

スタディステップのデフォルト波長

電磁波(周波数領域)インターフェース, または電磁波(ビームエンベロープ)インターフェースにおいて周波数, または波長依存スタディステップを追加すると, デフォルトで波長が1umに設定されます.

ヘルムホルツ方程式を満たすガウシアンビーム背景場

ガウシアンビーム背景場が新しくなりました. ガウシアンビームの焦点面が主伝播方向周りに分布する波動ベクトル方向に伝播する平面波の和で近似されます. この方法の長所は近軸近似の方法に比べてヘルムホルツ方程式の真の解であることです. 平面波がヘルムホルツ方程式の解であるからです. その名の通り, 近軸近似はヘルムホルツ方程式の近似解に過ぎないので, 広角で収束するガウシアンビームに適用することはできません.


新しいヘルムホルツ方程式を満たすガウシアンビーム背景場を使った例題のアプリケーションライブラリパス:
Wave_Optics_Module/Optical_Scattering/nanorods

反射率と透過率の新しいポストプロセス変数

反射率, 透過率, 吸収率の評価とポストプロセスの式を簡略化するために, 新たな変数を導入しました. 従来, ポート1での反射率を求めるために abs(ewfd.S11)^2 のように書いていた式が, 新しく ewfd.Rport_1 という変数で表すことができるようになりました. ewfd.Rport_<x> や ewfd.Tport_<x> の変数名はポート名 <x> に関する変数名を表します. 周期ポートと回折次数ポートにもモード数とモード偏光に基づく新しい変数ができました. 例えば, ewfd.Rorder_p1_op は2Dの1次モード, 面外偏光の反射率を表します. さらに, 全反射率, 全透過率, 全吸収率のための総和変数も新しく加わりました.

新しいデフォルトプロットと反射率・透過率のグローバル評価 周波数, または波長スイープ, パラメトリックスイープ, 補助スイープで, 反射率と透過率の新しいデフォルトプロットが生成されます.


A plot from the Hexagonal Grating tutorial.

ヘキサゴナル回折格子チュートリアルモデルの回折効率のデフォルトプロット.

ヘキサゴナル回折格子チュートリアルモデルの回折効率のデフォルトプロット.
A screenshot from the Dielectric Slab Waveguide tutorial model.

誘電体スラブ導波路チュートリアルモデルにおけるデフォルトの「グローバル評価」ノード. 設定, テーブル (右下).

誘電体スラブ導波路チュートリアルモデルにおけるデフォルトの「グローバル評価」ノード. 設定, テーブル (右下).

境界モード解析の新しい有効屈折率変数

境界モード解析を実行する際に, モードの有効屈折率の変数が新たに加わりました. 変数名は <phys>.neff_<x> のようになります. <phys> がフィジックスインターフェースタグで <x> がポート名を表します. 例えば, 「電磁波 (周波数領域) インターフェースのポート1 は変数名 emw.neff_1 を持ちます.

新チュートリアルモデル: スロット導波路

このモデルはナノスロット導波路内のモード伝播を解析します. スロット導波路は低屈折率スロットの隣に配置する2つの高屈折率スラブからなります. 長方形誘電体導波路とは逆に, スロット導波路のモードは低屈折率スロット材料の中に閉じ込められます. 2D断面のにおけるモード解析を行い, スロット面を通して最大の光学パワーと強度が得られるようなスロット幅に最適化を行います.

A plot from the Slot Waveguide tutorial model, new with COMSOL Multiphysics version 5.3a.

このサーフェスプロットは中央の低屈折率スロット部に光が閉じ込められるのを示します. プロット変数は電場の x 成分です.

このサーフェスプロットは中央の低屈折率スロット部に光が閉じ込められるのを示します. プロット変数は電場の x 成分です.

アプリケーションライブラリパス:


Wave_Optics_Module/Waveguides_and_Couplers/slot_waveguide

更新されたチュートリアルモデル:フレネルレンズ

このモデルは結果の比較に電磁波(ビームエンベロープ)インターフェースによる結果を新たに追加して更新されました. 結果は参考の値とよく一致し, 計算時間は電磁波(周波数領域)インターフェースに比べて数分の一に速くなります. さらに, フレネルレンズの作成に使うモデルメソッドの作成方法を順を追って説明します. モデルメソッドは, 複雑なジオメトリがパラメーターで変わるときに自動でジオメトリを再構築します. 更新されたモデルでは回折構造による散乱光をよりよく吸収するために, PMLを配置しました. これにより参照解との一致が改善されます.

A plot from the Fresnel Lens tutorial model, updated for COMSOL Multiphysics version 5.3a.

更新された比較プロット. 電磁波(ビームエンベロープ)インターフェースによるシミュレーション結果が含まれています.

更新された比較プロット. 電磁波(ビームエンベロープ)インターフェースによるシミュレーション結果が含まれています.

アプリケーションライブラリパス:


Wave_Optics_Module/Verification_examples/fresnel_lens

アダプティブ周波数スイープ

アダプティブ周波数スイープスタディステップは, 細かく分けられた複数の周波数の調和励起の下にある線形, または, 線形化モデルの応答を縮小次数モデルを周波数領域で計算します. 漸近波形評価 (AWE) モデル縮小化はパデ近似, または, テイラー級数展開を使ったモーメントマッチング技術によって実行され, 指定された周波 数間隔で伝達関数を計算します. ポート設定に従ってデフォルトで自動的に AWE 表現が選択されますが, ユーザー定義のスカラー値表現によって AWE アルゴリズムで計算される誤差評価を指定することも可能です. AWE 法に使われる数式が周波数に対して十分ゆっくりと変化する量の場合, 非常に細かく周波数を分解してもパフォーマンスを落とすことなく計算することが可能です. AWE 法は前のバージョンでも利用できましたが, 専用の使いやすいスタディタイプがありませんでした.

An illustration of the Adaptive Frequency Sweep study type, new with COMSOL Multiphysics 5.3a.

導波路絞りフィルター:アダプティブ周波数スイープと通常スイープのSパラメーター比較. ほぼ同じ時間で10倍細かい周波数分解能での計算が可能です.

導波路絞りフィルター:アダプティブ周波数スイープと通常スイープのSパラメーター比較. ほぼ同じ時間で10倍細かい周波数分解能での計算が可能です.

スリットポート可視化: さらに直感的な矢印方向

アクティブスリット条件を持つ内部ポートに, パワー流れの方向を示す新しい矢印可視化が導入されました. 「パワー流れ方向切替」ボタンをクリックすると簡単にパワー流れ方向を切り替えることができるようになりました.

A demonstration of the Toggle Power Flow Direction button in COMSOL Multiphysics 5.3a.

「パワー流れ方向切替」ボタンをクリックすると内部スリットポート上のパワー流れ方向を切り替えることができます.

「パワー流れ方向切替」ボタンをクリックすると内部スリットポート上のパワー流れ方向を切り替えることができます.

連結解スタディステップを用いたデータ細分化

「連結解スタディステップ」が結果の不要な部分を取り除きます. 例えば, 時間-周波数FFT変換後の周波数スペクトルにおいて, 最初と最後の5パーセントの周波数成分をユーザー定義式で取り除くことができます. ユーザー定義式により解を部分的に除去することができます.