COMSOL Multiphysics®を活用した次世代STEM教育の実践:小中高生向けサイエンスイベントの事例紹介

髙橋隼永1, 西岡将輝1
1みなも株式会社 〒982-0818 宮城県仙台市太白区山田新町47
Published in 2026

【研究・検討内容】 科学教育において、実験を通じた体験学習は重要である一方、安全性や設備上の制約から、観察や実施が困難な物理現象も多い。本研究では、この課題を解決するため、小学生向けサイエンスイベントおよび高校生向けセミナーにおいて、マルチフィジックスシミュレーションを活用した教育プログラムを実践し、その教育的効果を検討した。実験とシミュレーションを融合させることで、理論と実践の橋渡しとなる新しい探究型学習の構築を目指した。 【COMSOL Multiphysics の使用内容】 小学生向けのイベントでは「電子レンジによる液体の加熱特性」をテーマとし、COMSOLを用いて電子レンジ庫内の電場分布および、水・油などの各液体の電磁特性を考慮した加熱過程をシミュレーションし、可視化した。さらに参加者自身がグラスの配置等の変数を変更して結果の違いを観察した。 高校生向けのセミナーでは「CPU冷却設計の最適化」をテーマに据え、COMSOLのアプリケーションビルダーを用いて、冷却柱の数、形状、配置などのパラメータを自由に変更できる専用シミュレーションアプリを構築した。これを事前に配布し、当日は自ら設計・検証を行う問題解決型学習(PBL)を実施した。 【結果の概要】 小学生向けイベントでは、サーモグラフィやネットワークアナライザを用いた実測結果とCOMSOLのシミュレーション結果を比較することで、参加者はマイクロ波の吸収特性と加熱の関係について直感的に理解することができた。 高校生向けセミナーでは、シミュレーションアプリの事前配布により操作のハードルが下がり、当日は「冷却柱の表面積と空気の流れ」等に関する高度なグループディスカッションが行われた。実験では試行が難しい多様な設計案を即座に検証できる点が評価され、セミナー後も別条件で検証したいという継続的な学習意欲の向上も確認された。 【結論】 COMSOL Multiphysicsを用いた教育プログラムは、目に見えない物理現象を直感的に理解させる「可視化」の手段として極めて有効である。また、容易に条件変更ができる利点を活かし、学習者自らが仮説を立てて検証する「科学的探究プロセス」を強力に後押しする。さらに、専用アプリの活用は、単発のイベントにとどまらない継続的な学習環境の提供にも寄与することが示された。