プラズマモジュールアップデート

COMSOL Multiphysics® バージョン 5.4 のプラズマモジュールでは非マックスウェル放電のグローバルモデリング, 再構成されたボルツマン方程式, 2項近似インターフェース, CCPパルス電気励起などのアップデートが含まれています. プラズマモジュールアップデートの詳細は以下をご覧ください.

非マックスウェル放電のグローバルモデリング

グローバルプラズマモデルにおいて, 電子エネルギー分布関数 (EEDF) をボルツマン方程式の2項近似で計算できるようになりました. 拡散モデルでグローバルを選択すると EEDF の追加オプションが現れます:

  • ボルツマン方程式 (2項近似) (1次)
  • ボルツマン方程式 (2項近似) (2次)

上記の1次と2次というのは EEDF を計算する際の形状関数のことを指します. これらのオプションが選択されると, エネルギー空間を離散化する別のオプションが現れます. EEDF は EEDF 初期化スタディという別の新しいスタディで初期化されます. このスタディからの解が通常の時間依存スタディの初期条件となります. この機能は次の新しいモデルで使われています Global Model Coupled with the Two-Term Boltzmann Equation (boltzmann_global_model_argon).

再構成されたボルツマン方程式 (2項近似インターフェース)

ボルツマン方程式 (2項近似インターフェースが新しくなりました. 0D コンポーネントでのみ使うことができます. このインターフェースは固定値ではなく, 解に基づいた最大エネルギーを計算するため, 求解がより安定になりました. これは全体の平均エネルギー率を考慮したより正確な結果が得られることを意味します. 新しい結果セクションが追加され, 求解後に表示されるデフォルトプロットが見やすくなりました.

この機能は次のモデルで使われています:

容量結合性プラズマのパルス電気励起

容量結合性プラズマのモデル化において, 従来の正弦波励起に加えて, パルス励起が新しくできるようになりました. この機能はプラズマ (時間周期) インターフェースで利用できます. オン, オフ周期の指定や, フルパワーまでの増加期間の周期数, ゼロパワーまでの減少期間の周期数を指定することができます. さらに, 追加次元でメッシュ提案を作成チェックボックスをチェックすることで, パルス信号の離散化を最適するメッシュ提案が作成されます. この機能は新しいモデル Pulsed Capacitively Coupled Plasma model (pulsed_ccp_discharge) で使われています.

新しい化学種グループ機能

プラズマ (時間周期)インターフェースの化学種グループ機能は複数の異なる化学種を含む化学反応において完全に質量を保存します. この機能は Ar/N2 or N2/O2 などの混合ガスを正しくモデル化するために必要です. また, この機能は求解の際に, ソルバーが取る非線形反復の各ステップにおいて質量を完全に保存するので, 問題をより安定にします.

化学種拘束グループ機能は化学種のリストを取り, 質量比を求解中の初期値に拘束します. この機能は複雑な化学反応に便利で, モデル開発の際に化学種と化学反応を有効化したり, 無効化したりする必要がありません. 化学種は第2のスタディで簡単に再有効化することができます. つまり, 非常に反応性の高い化学種が, 物理的に正しく, 収束した初期解に基づいて (コールドスタートではなく) 発達していきます.

新しいチュートリアルモデル

COMSOL Multiphysics® バージョン 5.4 では2つの新しいチュートリアルモデルが追加されました.