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金属プロセスモジュールアップデート


金属プロセスモジュールのユーザー向けに, バージョン 6.4 では, 高周波焼入れマルチフィジックスインターフェース, 新しいオーステナイト化相転移モデル, および応力依存マルテンサイト相転移をモデル化する機能が追加されました. これらのアップデートの詳細については, 以下をご覧ください.

高周波焼入れマルチフィジックスインターフェース

鋼部品の高周波焼入れのプロセスをモデル化するため, 新しく 高周波焼入れ マルチフィジックスインターフェースが利用可能になりました. この機能では, コイルを用いた局所的な誘導加熱と, それに続く鋼部品の急冷により, 硬い表面層と柔らかい内部構造を得る工程をモデル化します. 固体力学との連成により, 残留応力, ひずみ, および変形を計算することが可能です. なお, このインターフェースを使用するには, AC/DC モジュールが必要です.

COMSOL Multiphysics のユーザーインターフェース. モデルビルダーに相転移ノードが強調表示され, 対応する設定ウィンドウが表示されています. グラフィックスウィンドウには円筒ピンモデルが表示されています.
高周波焼入れ インターフェース, およびそれを構成するフィジックスインターフェースとマルチフィジックスカップリング.

オーステナイト化相転移モデル

鋼の加熱過程におけるオーステナイト化をモデリングするために, 新たに 線形 モデルと Oddy–McDill–Karlsson モデルの2つの相転移モデルが導入されました. 線形 モデルは, オーステナイト生成を簡潔に表現でき, フェライト相からの詳細な転移挙動を必要としない場合に有用です. Oddy–McDill–Karlsson モデルは, 亜共析鋼の加熱過程に適しており, 共析オーステナイト部の生成をモデル化する際に使用されます. 円筒ピンの高周波焼入れ モデルでは, 線形 モデルを用いてオーステナイト化を記述しています.

COMSOL Multiphysics のユーザーインターフェース. モデルビルダーに相転移ノードが強調表示され, 対応する設定ウィンドウが表示されています. グラフィックスウィンドウには円筒ピンモデルが表示されています.
誘導加熱後のオーステナイト相分率.

応力依存マルテンサイト相転移

マルテンサイト相転移の開始は, 外部から加えられる応力によって影響を受ける可能性があります. バージョン 6.4 では, これらの応力がマルテンサイト開始温度 Ms の変化を通して相転移モデルに反映されるようになりました. 開始温度は, 圧力と有効応力 (フォン・ミーゼス応力) に応じて変化します.

新しいチュートリアルモデル

COMSOL Multiphysics® バージョン 6.4 では, 金属プロセスモジュールに1つの新しいチュートリアルモデルが追加されました.