プラズマモジュール

低温プラズマ放電をモデル化

プラズマとは, 流体力学, 反応工学, 物理動力学, 熱伝達, 物質移動, および電磁気学が関与する重要なマルチフィジックス 系です. プラズマモジュールは, 幅広い工学分野で発生する非平衡および平衡放電をモデル化するための COMSOL Multiphysics® に特化したアドオン製品です. 任意の系を扱うために開発されたプラズマモジュールには, 直流 (DC) 放電, 誘導結合プラズマ (ICP), マイクロ波プラズマ, 容量性結合プラズマ (CCP), およびコロナ放電をモデル化するための定義済み設定が用意されています.

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上部に銅製の四角いコイルを配置した 3D モデルで, インフェルノカラーテーブルの温度を示しています.

プラズマモジュールでモデル化できること

さまざまな電磁波励起を受けるプラズマの挙動をシミュレート.

吸収された電力を示す ICP 反応器モデルの拡大図.

誘導性結合プラズマ

ICP 反応器において, 電力がプラズマにどのように結合するかを解析.1

温度と密度を示す CCP 反応器モデルの拡大図.

容量性結合プラズマ

時間周期定常状態を直接求解する専用インターフェースを使って, CCP 反応器をモデル化.

温度を示す ECR プラズマ源モデルの拡大図.

電子サイクロトロン共鳴 (ECR) プラズマ源

プラズマモデルと磁場, 電磁波を組み合わせ, ECR プラズマ源をモデル化.1,2

抵抗加熱を示す 1D プロットの拡大図.

マイクロ波励起プラズマ

プラズマ中のマイクロ波加熱の影響を解析.2

プラズマ密度を示す DC 放電モデルの拡大図.

直流放電

DC 電圧または電流によって持続する放電をシミュレート.

負イオン密度を示すコロナ放電モデルの拡大図.

コロナ放電

コロナ放電における荷電種の空間分布を計算.

電気絶縁破壊を示す2つの球体の拡大図.

絶縁破壊

高電圧 DC 系が気体絶縁破壊を引き起こすかどうかを検出.

電場と粒子の軌跡を示す電気集塵装置モデルの拡大図.

電気集塵装置

電気集塵装置の荷電粒子軌道を追跡し, 透過確率を計算.3

温度を示すプラズマ DC アークモデルの拡大図.

プラズマアーク

プラズマアークと周囲の材料の温度分布をシミュレート.1

温度を示す ICP プラズマトーチモデルの拡大図.

ICPトーチ

ICP トーチの電気的, 熱的特性を大気圧下で解析.1

時間発展と電場の減少を示す 1D プロット.

プラズマグローバルモデル

ボルツマン方程式を含む, 高速なパラメーター化と複雑な化学反応に対応するグローバルモデルを使用して, プラズマ反応器をモデル化.

電子エネルギー分布関数を示す 1D プロット.

電子エネルギー分布関数 (EEDF)

EEDF を計算し, 流体プラズマモデルで使用するための電子輸送パラメーターとソース項を計算.

吸収電力を示す2つの ICP 反応器プロットの拡大図.

プラズマの均一性のための最適化

プラズマの均一性を得るために, ICP リアクターのコイル設計と配置を最適化.4

イオンエネルギー分布を示す 1D プロット.

イオンエネルギー分布関数

表面でのイオンエネルギー分布関数を計算.3

  1. AC/DC モジュールが必要
  2. RF モジュールが必要
  3. 粒子追跡モジュールが必要
  4. 最適化モジュールが必要

プラズマモジュールの特長と機能

プラズマモジュールは低温および熱プラズマをモデル化するための専用ツールを提供します.

プラズマノードが強調表示されたモデルビルダーの拡大図と, 対応する設定ウィンドウ.

非平衡プラズマ

プラズマモジュールは, 静電場または時間電場によって維持される低温プラズマ反応器をモデル化するための組み込みのユーザーインターフェースを搭載しています. これらのインターフェースはそれぞれ, ドメイン方程式, 境界条件, 初期条件, 事前定義されたメッシュ, 定常および過渡解析のソルバー設定による事前定義されたスタディ, および事前定義されたプロットと計算値のセットを定義します. すべての化学種 (電子, イオン, 中性粒子) の輸送方程式は, ポアソン方程式で自己無撞着に求解されます. また, 電子の平均エネルギー方程式は, 電子が電場からエネルギーを得て, 背景ガスとの衝突でエネルギーを失う方法をモデル化することによって解くことができます.

電子衝突反応ノードがハイライトされたモデルビルダーの拡大図と, グラフィックスウィンドウに無電極ランプモデルが表示されています.

プラズマ化学反応

プラズマ化学は, 現実的なシミュレーション結果を得るために非常に重要です. プラズマモジュールを使用すると, 電子衝突反応, 重化学種間の反応, および表面反応を定義することができます.

プラズマ化学は, 背景ガスとの衝突で電子がどのようにエネルギーを失ったり得たりするかを決定します. プラズマモジュールは, 電離, 励起, および付着につながる電子衝撃反応をモデル化するための専用機能を提供します. 電子衝突反応は断面データから定義でき, ソース項は電子エネルギー分布関数を適切に積分することで得られます.

プラズマ伝導性結合ノードが強調表示されたモデルビルダーの拡大図と, グラフィックスウィンドウに ICP 反応器モデルが表示されています.

ICP 反応器をモデル化するためのマルチフィジックスインターフェース

誘導性結合プラズママルチフィジックスインターフェース1は, 誘導電流によって維持される放電を解析するために使用されます. このマルチフィジックスインターフェースは, プラズマインターフェースからのプラズマ伝導率を磁場インターフェースに接続し, 誘導電流による電子加熱をプラズマインターフェースに結合します. 磁場は周波数領域で, プラズマは時間領域で解かれます.

平衡誘導性結合プラズマノードが強調表示され, グラフィックスウィンドウに ICP トーチモデルが表示されたフィジックス追加のウィンドウの拡大図.

平衡放電をモデル化するためのマルチフィジックスインターフェース

プラズマモジュールには, 熱力学的平衡状態におけるプラズマをモデル化するためのインターフェースが含まれています. 熱力学的平衡では, 電子と重化学種は同じ温度を持ち, プラズマは単一の温度で特徴付けることができます. このような条件のプラズマをモデル化するために, プラズマモジュールには, 電気的励起のタイプに基づいたいくつかの平衡放電インターフェースが用意されています. 平衡 DC 放電, 平衡誘導性結合プラズマ1, および複合誘導/DC放電1です. これらのインターフェースは, 磁気流体力学的アプローチにおいて, プラズマを1つの温度を持つ単一の流体として記述します. 平衡放電インターフェースは, 流体の流れ, 熱伝達, 磁場, および電流のインターフェースを結合したものです. プラズマフィジックスは, 特定の熱源を流体に組み込むマルチフィジックスカップリング機能によって, および電気伝導率, 熱容量, 輻射熱伝達などのプラズマ特性を介して導入されます.

壁ノードが強調表示されたモデルビルダーの拡大図と対応する設定ウィンドウ.

プラズマと表面の相互作用のための境界条件

プラズマモジュール内の組み込みユーザーインターフェースの一部として, プラズマが表面とどのように相互作用するかを記述するためのさまざまな境界条件が用意されています. たとえば, 表面での電子密度とエネルギー流束は, 壁機能を適用することで簡単に定義できます. この機能により, 電子伝達方程式に輸送による損失が導入されます. 表面での二次電子放出や一般的な電子流束などの追加の流束源を含めることができます.

荷電粒子の流束は電極で自動的に計算され, 外部回路をモデル化するために追加できます. 誘電体がプラズマと接触している場合, 表面での荷重種の流束から表面電荷蓄積を計算することができます.

熱源ノードが強調表示され, グラフィックウィンドウに熱プラズマモデルが表示されたモデルビルダーの拡大図.

背景ガスの CFD および熱伝達解析

プラズマインターフェースでは, 背景ガスの流れや加熱をモデル化するために, 流れおよび伝熱インターフェースと組み合わせることができます. また, プラズマを取り囲む材料における熱伝達をシミュレートすることも可能です. 電子は電場からエネルギーを得て, 背景ガスとの衝突でエネルギーを失います. 圧力が十分に高かければ, このメカニズムによって重要なガスや表面の加熱が起こる可能性があります. プラズマインターフェースは, プラズマ反応から生じる熱源を自動的に計算し, 伝熱インターフェースで使用できるようにします. 粘度や密度などの流体特性もプラズマインターフェースで計算され, 流体流れインターフェースで使用できるようになります.

プラズマ (時間周期的) ノードが強調表示され, グラフィックスウィンドウに GEC モデルが表示されたモデルビルダーの拡大図.

CCP 反応器をモデル化するためのフィジックスインターフェース

プラズマモジュールには, 従来の方法よりも大幅に短縮された計算時間で CCP をモデル化するための特殊な数値的方法が搭載されています. 時間領域で解く代わりに, 基礎となる数学方程式に追加の次元を追加することにより, 周期的な定常状態の解が計算されます. この追加の次元の方程式は, 1つの RF サイクルを表し, 周期境界条件を適用します. これにより, 何万, 何十万ものRFサイクルを解く必要がなくなり, プラズマが周期的な定常解に到達するまでに長い時間がかかることが避けられます. このアプローチは, モデルのすべての非線形性を維持しながら, 計算時間を劇的に短縮してくれます.

プラズマ伝導性結合設定の拡大図と, グラフィックスウィンドウのマイクロ波プラズマ源モデル.

マイクロ波プラズマをモデル化するためのマルチフィジックスインターフェース

マイクロ波プラズママルチフィジックスインターフェース2は, 電磁波によって維持される放電 (波動加熱放電) を解析するために使用されます. このインターフェースを選択すると, プラズマインターフェースと電磁波インターフェース, およびマルチフィジックスカップリングが自動的に生成されます. プラズマ伝導度結合機能は, プラズマ伝導度を電磁波インターフェースに結合し, 電子熱源機能は, 結果として生じる電子加熱をプラズマインターフェースに結合します. 電磁波は周波数領域で, プラズマは時間領域で解かれます.

  1. AC/DC モジュールが必要です
  2. RF モジュールが必要です

どのビジネスもシミュレーションニーズもそれぞれ違います. COMSOL Multiphysics® ソフトウェアがお客様のご要望を満たすかどうかをきちんと評価するために, 我々にご連絡ください. 我々のセールス担当と話をすれば各個人に向いたお勧めや, しっかり文書化されたモデルなどをお送りすることができ, 最大限の評価結果を引き出すことができます. 最終的にどのライセンスオプションがあなたの要望にとって最適かを選択することができます.

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