スピーカードライバーのモデリング: どのカップリング機能を使用するか

2022年 4月 26日

スピーカードライバーは, 電磁力を利用して振動を発生させ, 音を放射する電気音響変換器です. 市場には様々なタイプのドライバーがあり, 異なる原理で動作しています. ここでは, スピーカードライバーをモデリングするために COMSOL Multiphysics®に搭載されているマルチフィジックスカップリング機能をご紹介します.

スピーカードライバーの種類

中でも, 次の4種類のドライバーは, 最もよく知られているスピーカードライバーの設計に利用されている物理的なメカニズムを説明するための良い代表例となります:

  1. 通電しているボイスコイルにかかるローレンツ力を利用して, コイルや付属のダイヤフラムを移動させる従来のダイナミックトランスデューサー. ムービングコイルトランスデューサーとも呼ばれ, 現在最も普及しているタイプを構成.
  2. 主に補聴器やインイヤーデバイスに使用されるバランスドアーマチュアレシーバー. 磁性体の間に発生するマックスウェル応力によって動きが誘発されます. ムービングアイアンスピーカーと呼ばれるグループに属し, 電気スピーカーの中で最も早く発明されたタイプ.
  3. 適用された電場に起因する力学的な応力の内部生成により変形する水晶のような圧電材料を使用する圧電ドライバー. 電子機器の音出しによく使われるほか, 安価なスピーカーシステムのツィーターとしても使用されることがあります.
  4. 2枚の穴あき金属板の間に吊り下げられる, 大きくて薄い導電性ダイアフラムパネルにかかる静電気力を利用する静電ドライバー. 歪みが少なく, 明瞭度が高い音質でオーディオファンに人気があり, 他のタイプより高価です.

これらのスピーカー種類の駆動力はすべて電磁力のカテゴリーに属しますが, それぞれ独自の物理的性質を持っています. ダイナミックトランスデューサーとバランスドアーマチュアレシーバーは磁場で動作するため, COMSOL Multiphysics® ソフトウェアでモデリングするには, “固体力学”インターフェースと“磁場”インターフェースをカップリングする必要があります. 一方, 圧電ドライバーと静電ドライバーは電場で動作するため, “固体力学”インターフェースと“静電”インターフェースのカップリングが必要となります.

COMSOL Multiphysics には, これら 4 つのスピーカードライバーをすべてモデリングするためのマルチフィジックスカップリング機能が組み込まれています. それぞれについて詳しく見ていきましょう.

ローレンツカップリング

磁場中に置かれた導体に電流を流すと, ローレンツ力と呼ばれる電磁力が導体に作用し, 導体を動かします. 一方, 磁場の中で導体が動くと, 導体に電圧が発生し (“逆起電力”と呼ぶ), これが磁場に影響を与えます. これが, ムービングコイルを用いた従来のダイナミックスピーカードライバーの動作原理です.

このムービングコイルトランスデューサーには, 磁場を生成させるための永久磁石と, 磁場中に配置されたコイルが含まれています. コイルに交流電圧をかけると, ローレンツ力の変化によりコイルが前後に移動し, 接続されたダイヤフラムが振動して音を放射します.


ムービングコイルトランデューサーは, ローレンツ力を利用して振動を誘発します.

“ローレンツカップリング”機能は, ローレンツ力と逆起電力を計算して, この双方向の効果を捉えてくれます. これは, “磁場”インターフェースと“固体力学”インターフェース間のマルチフィジックスカップリング機能で, “磁場”インターフェースから“固体力学”インターフェースへローレンツ力を通し, “固体力学”インターフェースから“磁場”インターフェースへ誘導電場を通します. ローレンツ力と誘導電場は, 以下の方程式を用いて計算されます:

\textbf J=\sigma(\textbf E+\textbf v\times \textbf B)
\textbf F=\textbf J\times \textbf B

ここで, \sigmaは導電率, \textbf Eは印加電場, \textbf vはムービングコイルの速度, \textbf Bは磁束密度, \textbf v\times \textbf Bは誘導電場です. 全電流密度\textbf Jは, 印加電場と誘導電場の両方からの寄与を含み, ローレンツ力\textbf Fの計算に使用されます.

ラウドスピーカードライバーをモデリングする場合, スピーカードライバ (周波数領域解析)およびラウドスピーカードライバー (過渡解析). のチュートリアル例で示されているように, カップリングは通常, ボイスコイルドメインで追加されます.

ローレンツカップリング機能が選択された”モデルビルダー”, “設定”ウィンドウ, “グラフィックス”ウィンドウのダイナミックムービングコイルトランスデューサーのモデルを示すCOMSOL Multiphysics UI.
“ローレンツカップリング”機能は, “スピーカードライバー (周波数領域解析)”チュートリアル例において, ダイナミックムービングコイルトランスデューサーのモデリングに使用されています.

磁気力学的な力

バランスドアーマチュアレシーバーも, マグネット, コイル, ダイヤフラムで構成されています. しかし, 全く別のメカニズムで動作しています. これらのデバイスでは, コイルは固定されており, 全く動きません.

シングルバランスドアーマチュアレシーバーでは, ボイスコイルの中に小さなアーマチュア (アーム) が含まれており, 2つの磁石の間にバランスを取るように配置されています. コイルに交流電流が流れると, アーマチュアは磁化され, 磁性体の間に存在する電磁力, いわゆるマックスウェル応力を受けます. この力によってアーマチュアは振動し, 一方の磁石から他方の磁石へと移動します. アームはダイヤフラムに取り付けられているため, その振動がダイヤフラムに伝わり, 音波が発生します.


磁性体間のマックスウェル応力を利用して振動を誘起するバランスドアーマチュアレシーバー.

これは, “磁場”インターフェースと“固体力学”インターフェースの間の別のマルチフィジックスカップリングである“磁気力学的な力”カップリング機能で捉えられています. これは, 磁化された変形可能な固体にかかるマックスウェル応力や, 構造の変形が材料の磁化に与える影響を計算するために使用されます. 応力には, 固体の変形に寄与する2つの要素, すなわち磁化された物体の内部に存在する応力と, 周囲の磁場との相互作用から生じる応力が含まれます. 前者は体積荷重として, 後者は固体の外部境界で境界荷重としてモデル化されます.

有限変形の場合, 固体の電磁応力と材料磁化の式は, 磁気エンタルピーと呼ばれる以下の熱力学的ポテンシャルを用いて導き出すことができます:

W_{\textup E \textup M}=W_s(\textup C)+\frac{1}{2}(\mu_0 \mu_r J)^{-1}\textup C: (\textbf B \otimes \textbf B)

ここで, \mu_0\mu_rはそれぞれ自由空間と相対的な透磁率です. 磁束ベクトル\textbf Bの成分は物質座標系でとらなければならず, 右のCauchy–Green変形テンソルは

\textup C=\textup F^{\textup T} \textup F, J=\textup{det}(\textup F)

\textup F=\nabla \textbf u + \textup Iです. ここで, \textbf uは変位場, \textup Iは恒等テンソルです. 力学的エネルギー関数W_s(\textup C)は使用する固体モデルに依存します.

\textup Iは恒等テンソルです. 力学的エネルギー関数W_s(\textup C)は, 使用する固体モデルに依存します.

第2種Piola–Kirchhoff 応力テンソルの合計は, 次式で与えられます.

\textup S=2 \frac{\partial W_{\textup E \textup M}} {\partial \textup C}

磁束密度ベクトルは次のように計算されます.

\textbf H= \frac{\partial W_{\textup E \textup M}} {\partial \textbf B}

そして, 磁気応力テンソルは次のように計算されます.

\sigma_{\textup E \textup M}=(\textbf B \otimes \textbf H)-\frac{1}{2}(\textbf B \cdot \textbf H) \textup I

これが, いわゆるミンコフスキー磁気応力テンソルです. これを固体への体積荷重として適用します.

これに対応する電磁体力は次のように書くことができます.

\textbf f=\nabla \cdot \sigma_{\textup E \textup M}=\textbf J \times \textbf B-\frac{1}{2}(\textbf H \otimes \textbf H) : \nabla \chi

これはKorteweg–Helmholtz 磁力と呼ばれることもあります. ここで, \textbf Jは電流, \chi=\mu_r-1は磁化率で, 材料の力学的歪みの関数となることもあります. これは, 電磁体力がローレンツ力と磁気分極からの力の寄与の両方からなることを示しています. 誘導電流効果は本質的に含まれており, 外部電流が印加されていないときのローレンツ力への寄与はこれだけです.

周囲の磁場\sigma_{\textup E \textup M}^\textup{(out)}によって誘起される境界応力は表面に適用され, 次のように計算されます

\sigma_{\textup E \textup M}^\textup{(out)} \textbf n=-p\textbf n -\frac{1}{2} \mu_0(\textbf H \cdot \textbf H)\textbf n+\mu_0(\textbf n \cdot \textbf H)\textbf n

ここで, \textbf Hpは固体境界の外側の磁場と周囲圧力です.

COMSOL Multiphysics は, 周囲圧力の定義をカップリング機能上に明示的に含めていません. しかし, 圧力が既知であるか, または音響モデルなど他のフィジックスインターフェースによって計算されている場合は, 対応する“固体力学”インターフェースに追加の表面力を追加することが可能です.

“磁気力学的な力”カップリング機能の使用例として, バランスドアーマチュアトランスデューサーチュートリアルモデルがあります(下図).

磁気力学的な力”機能が選択された”モデルビルダー”, 対応する”設定”ウィンドウ, および”グラフィクス”ウィンドウに表示されたバランスドアーマチュアトランスデューサーの振動電気音響フルシミュレー ションを示すCOMSOL Multiphysics UI.
“磁気力学的な力”カップリング機能は, バランスドアーマチュアトランスデューサーの振動電気音響シミュレーションで使用されています.

圧電効果

圧電ドライバーは, 圧電材料と呼ばれる特定の結晶材料に存在する特異な物理現象の圧電効果によって動作します. 圧電効果とは, 圧電結晶を変形させると, 一定方向に電気分極が生じるというものです. この分極は変形に比例しており, 結晶上に電位差を生じさせます. 一方, 逆圧電効果とは, 直接効果の逆をなすものです. これは, 圧電ドライバーの動作のメカニズムである, 電場が印加されたときの結晶内の変形のことです.

 4枚の三角形のメンブレンで構成された圧電MEMSスピーカーの模式図. エアギャップ, 圧電層, シリコン層の3つのパーツが示されています.
圧電効果を利用して振動を誘発する, 4つの三角形のメンブレンで構成された圧電MEMSスピーカー. 可視化のため, 厚さ方向に大きなスケールを適用しています.

圧電効果および逆圧電効果は, “静電”インターフェースと“固体力学”インターフェースの間のマルチフィジックスカップリングである“圧電効果”カップリング機能によって捕捉されます. 各フィジックスには, 圧電ドメインの特定の構成関係を考慮した専用の圧電材料モデル (“固体力学”インターフェースでは“圧電材料”, “静電”インターフェースでは“電荷保存, 圧電”) が含まれています. そして, 2つのフィジックスの圧電材料モデルは, “圧電効果”マルチフィジックス機能によってカップリングされます. 応力, ひずみ, 電場, 電気変位場の間の関係を, 応力-電荷形式, 歪み‐電荷形式のいずれかで表現することができますm.

応力電荷:

\sigma=c_E\epsilon-e^T\textup E
\textbf D=e\epsilon+\epsilon_0 \epsilon_{rS}\textup E

歪み電荷:

\epsilon=s_E\sigma+d^T\textup E
\textbf D=d\sigma+\epsilon_0 \epsilon_{rT}\textup E

ここで, \epsilonは歪み, \sigmaは応力, \textbf Eは電場, \textbf Dは電気変位場です. 材料パラメーターc_Es_Eは材料の弾性とコンプライアンス, edはカップリング特性, \epsilon_0\epsilon_rは自由空間と比誘電率です.

Piezoelectric MEMS Speakerのチュートリアル例では, “圧電効果”カップリング機能を使用して圧電ドライバーをモデル化する方法をご紹介しています.

“圧電効果”機能が選択された”モデルビルダー”, “設定”ウィンドウ, “グラフィックス”ウィンドウに圧電 MEMS スピーカーモデルが示されている COMSOL Multiphysics UI.
“圧電MEMSスピーカー” チュートリアルで, “圧電効果” カップリング機能が使用されています.

圧電ドライバーからの音響放射の過渡解析を実行する必要がある場合, 圧電デバイスの振動と流体中の波動伝搬の両方をモデル化する不連続ガラーキン (dG または dG-FEM) 法を使用することができます. このような場合, ドライバーのモデル化には, “圧電波 (陽的時間発展)”インタフェースと“静電”インタフェースに“圧電効果 (陽的時間発展)”マルチフィジックスカップリングを組み合わせた, “圧電波 (陽的時間発展)”マルチフィジックスインタフェースが使用されます. dG定式化により, 完全連成の問題を陽的な時間ステップアプローチで解くことができるため, 波長に対して長い距離に渡る音の発生と伝搬をモデル化するための効率的な代替手段が使用可能となります. これについては, ブログ 不連続ガラーキン法を用いた圧電効果のモデリングで説明されており, 圧電トランスデューサーを備えた超音波流量計チュートリアル例で実証されています.

電気力学的力

静電ドライバーも電場の中で動作しますが, 帯電体間のマックスウェル応力を振動源として利用します. これらのドライバーのダイヤフラムは薄く平らな導電性素材で, 通常その表面には一定の電荷が供給されています. グリッドまたはステーターと呼ばれる2枚の導電性シートで挟み込まれています. グリッドに位相のずれたオーディオ信号が適用されると, 帯電したダイヤフラムと両側のグリッドの間に静電力が発生します. 一方のグリッドがダイヤフラムを押し, もう一方のグリッドがそれを引くことで, 空気が動き, 音が発生するのです.

静電スピーカードライバーの模式図. 有孔金属シートと薄い導電性ダイアフラムが示されています.

静電スピーカードライバー. 薄いプラスチック製のダイヤフラムを2枚の有孔金属シートで挟んだ構造で, 帯電体の間に生じるマクスウェル応力を利用して振動を発生させるもの.

このタイプのトランスデューサーは,“静電”インターフェースと“固体力学”インターフェースの間のもう一つのマルチフィジックスカップリング機能である“電気力学的な力”を使ってモデル化することができます. 帯電体間の誘電力のほか, 構造体の変形が材料分極に与える影響も計算されます.

理論は“磁気力”のカップリングと非常によく似ていますが, 力が磁界ではなく電場で発生するようになっていることが特徴です. また, 分極された誘電体内で発生し, 体積荷重としてモデル化された応力と, 周囲の電場によって誘起され, 表面上の境界荷重として加えられる応力の2つの寄与があります.

有限な変形に対して, 誘電応力と材料分極の式は, 電気エンタルピー と呼ばれる以下の熱力学的ポテンシャルを用いて導き出すことができます:

H_\textup{eme}=W_s(\textup C)-\frac{1}{2}\epsilon_0 \epsilon_r J\textup C^{-1}: (\textbf E \otimes \textbf E)

ここで, \epsilon_0\epsilon_rは自由空間と比誘電率です. 電場成分\textbf Eは物質座標系上で取らなければならず, 右の Cauchy–Green変形テンソルは,

\textup C=\textup F^{\textup T} \textup F, J=\textup{det}(\textup F)

\textup F=\nabla \textbf u + \textup Iです. ここで, \textbf uは変位場, \textup Iは恒等テンソルです. 力学的エネルギー関数W_s(\textup C)は, 使用する固体モデルに依存します.

第2種Piola–Kirchhoff 応力テンソルの合計は, 次式で与えられ,

\textup S=2 \frac{\partial H_\textup {eme}}{\partial \textup C}

電気変位は次のように計算できます.

\textbf D=- \frac{\partial H_\textup {eme}}{\partial \textbf E}

そして, 誘電体応力テンソルは次のように計算されます.

\sigma_{\textup E \textup M}=(\textbf D \otimes \textbf E)-\frac{1}{2}(\textbf D \cdot \textbf E) \textup I

これが, いわゆるミンコフスキー磁気応力テンソルです. これを固体への体積荷重として適用します.

これに対応する電磁体積力は次のように書くことができます.

\textbf f=\nabla \cdot \sigma_{\textup E \textup M}=\rho_e \textbf E-\frac{1}{2}(\textbf E \otimes \textbf E) : \nabla \chi

これはKorteweg–Helmholtz磁力と呼ばれることもあります. ここで, \rho_eは電流, \chi=\epsilon_r-1は磁化率で, 材料の力学的歪みの関数となることもあります.

周囲の磁場によって誘起される応力は表面に適用され, 次のように計算されます.

\sigma_{\textup E \textup M}^\textup{(out)} \textbf n=-p\textbf n -\frac{1}{2} \epsilon_0(\textbf E \cdot \textbf E)\textbf n+\epsilon_0(\textbf n \cdot \textbf E)\textbf n

ここで, \textbf Epは固体境界の外側の電場と周囲圧力です.

COMSOL Multiphysics では, 周囲圧力の定義をカップリング機能に明示的に含めてはいません. しかし, 圧力が既知であるか, または音響モデルなど他のフィジックスインターフェースによって計算されている場合は, 対応する“固体力学”インターフェースに追加の表面力を追加することが可能です

静電スピーカードライバーチュートリアル例で, 静電的に誘発される振動をシミュレーションするための“電気力”カップリング機能の使用方法を説明しています.

COMSOL Multiphysics UI の”モデルビルダー”. “電気力”機能が選択され, 対応する”設定”ウィンドウ, “グラフィックス”ウィンドウで静電容量式ダイヤフラムの振動モデルが示されています.
“静電スピーカードライバー”のチュートリアルで, 静電容量式ダイヤフラムの振動をモデル化するために”電気力”カップリング機能が使用されています .

音響放射をモデル化するための”音響”インターフェースの追加

スピーカードライバーの性能を評価するには, 通常, 周囲の流体への音響放射の解析が必要です. 次に, “音響”インターフェースを追加し, 以下のカップリング機能を使って固体振動モデルとカップリングすることができます:

  • 音響-構造境界:この機能は, 圧力音響モデルを任意の構造コンポーネントにカップリングするために使用されます. これには, FEMベースの音響インターフェースとBEMベースの音響インターフェースの両方が含まれます. 前述のチュートリアル, “ラウドスピーカードライバー (周波数領域) 解析”, “ラウドスピーカードライバー (過渡解析)”, および”バランスドアーマチュアトランスデューサー”は, FEM ベースの圧力音響インターフェースの使用例です. BEMベースの圧力音響インターフェースと構造振動をカップリングした例は, 通気エンクロージャー内のラウドスピーカードライバーチュートリアルモデルで見ることができます.
  • >音響-構造境界 (陽的時間発展): この機能は, dG-FEM法と, 陽的時間発展ソルバーを使用して解かれた, 過渡音響構造相互作用の問題に特化したものです. 圧電スピーカードライバーからの音響放射の時間依存性解析のための“圧電効果 (陽的時間発展)”カップリング機能と互換性があります. デモンストレーションをご覧になりたい方は, the “圧電トランスデューサーを備えた超音波流量計” チュートリアルをご参照ください.
  • 熱粘性音響-構造境界: この機能は, “熱粘性音響”インターフェースを任意の構造コンポーネントとカップリングするために使用されます. 境界層が存在するため粘性損失と熱伝導が重要になる狭い流路での音響を正確にシミュレーションするには, 熱粘性音響モデルが必要です. これは, チュートリアルモデルのthe 圧電 MEMS スピーカー静電スピーカードライバーで例証されています.

また, 3つのカップリング機能それぞれについて, ペアバージョンがあります. “ペア音響-構造境界”カップリング, “ペア音響-構造境界 (陽的時間発展)”カップリング, “ペア熱粘性音響-構造境界”カップリングです. これらは, 同一性ペアが作成されたアセンブリジオメトリの固体力学インタフェースに音響学インタフェースをカップリングするために使用されます. これにより, 音響-構造境界での非適合メッシュ使用が可能になります. 固体と流体では波速度が異なるため, 計算メッシュは波を求解するときにこれを利用できます. このようにして, 求解の自由度を減らすことができます. 不連続ガラーキン法のブログでご説明したように, 特定の材料ドメインで不必要に小さなメッシュ要素による小さな内部ソルバーの時間ステップを避ける必要があるため, “ペア音響-構造境界 (陽的時間発展)”カップリングオプションはdGベースのモデルで特に有用です.

大きな変形のための移動メッシュ機能の追加

構造の変形が大きく, 電磁場 (電場または磁場) に大きな影響を与える場合, 構造の変形によるトポロジの変化が電磁場分布に与える影響を考慮するために“移動メッシュ”機能を使用することができます. これは, “静電スピーカードライバー”チュートリアル例で実証されています.

また, 大きな変形を伴うスピーカーのダイヤフラムから発生する, 音場のトポロジ変化による非線形効果を捉えるために, 移動メッシュを使用することもできます. “ラウドスピーカードライバー— 過渡解析”は, “移動メッシュ”機能と“自動再メッシュ”機能により, トポロジの変化とボイスコイルの動きを捉えることができます.

次のステップ

このブログでは, 市場で最も一般的なスピーカードライバーのモデリングに使用できる4つのカップリング機能について説明しました. アプリケーションギャラリからドキュメントとMPHファイルをダウンロードして, ここでご紹介したモデルをお試しください:

これらのカップリング機能を利用するために必要なモジュールについては, 弊社までお問い合わせください.

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