最適化モジュールアップデート

COMSOL Multiphysics®バージョン6.0では, 最適化モジュールのユーザー向けに, 単純な形状変化を設定するための変換機能, 最小二乗目標解析のための刷新されたパラメーター推定機能, 過渡的最適化のサポートの改善, そしてより簡単にアクセスできる最適化機能が備わっています. 機能の詳細については以下をご覧ください.

形状の最適化

形状の最適化には, シンプルな形状の変更をすばやく設定するための新しい変換機能があります. これは, 平行移動, スケーリング, 回転, およびカスタム座標系をサポートします. 形状のバリエーションがシンプルなので, 最適化された結果をCADで表現することが可能です. この新機能は, 既存の Optimization of a Photonic Crystal for Signal Filtering モデルとOptimization of a Photonic Crystal for Demultiplexing モデル, および Optimization of a Waveguide Iris Bandpass Filter — Transformation Version と呼ばれる新しいモデルで確認できます.

A revolved 2D electromagnetic coil showing the magnetic flux density with black lines and a blue center.
回転する2D電磁コイルの磁束密度.

パラメーター推定

これらの新しいツールとインターフェースによって, パラメーター推定モデルのセットアップが簡素化されました. 新しいグローバル最小二乗目標機能は, コンポーネントノードから利用できます. この機能は, 従来の機能 (最適化インターフェースから引き続き利用可能) と比較するとユーザーインターフェースが改良されています. さらに, 新しいパラメーター推定のスタディステップも導入され, 従来のパラメーター推定のスタディステップはカーブフィッティングに名称が変更されました. この新しいスタディステップでは, 通常の最適化インターフェースを追加することなく, スタディステップで直接, 最小二乗目標を設定でき, 最小二乗目標機能とともに使用することもできます. 新しいパラメーター推定機能を使用したチュートリアルモデルには, 以下のものが例として挙げられます: Impedance Tube Parameter Estimation with Data Generation, Mooney–Rivlin Curve Fit, Estimation of Corrosion Kinetics Parameters, および Modeling Impedance in the Lithium-Ion Batteryモデルなど.

A closeup view of the COMSOL Multiphysics UI showing the Model Builder with the Parameter Estimation node highlighted, the corresponding Settings window, a 1D plot in the Graphics window, and the Objective Probe Table.
Impedance Tube Parameter Estimation with Data Generationモデルは, インピーダンス管の測定結果に基づいて, 新しいパラメーター推定スタディステップを使用して, ポロアコースティックパラメーターを推定する方法を示しています.

過渡的最適化

ソルバーの設定が改良され, 過渡的感度解析の実行がよりロバストになりました. 固定時間ステップを使用したり, 過渡的な随伴問題を順方向の問題と同じ時間ステップで解くことができる新しい手動のソルバー設定を使用することで, さらなるロバスト性を得ることができます. これとは別に, 新たな制御関数機能により, 時間とともに変化する制御変数が可能になります. 引数は, Optimal Control for Heating of a Cylinder モデルのように時間を指定することもできますし, Shape Optimization of a Rectangular Loudspeaker Horn in 3D モデルのように任意の値を指定して, 形状の最適化に利用することもできます. また, Optimization of a Tesla Microvalve with Transient Flow モデルでは, 過渡的最適化のための改良が確認できます.

The COMSOL Multiphysics UI showing the Model Builder with the Control Function node highlighted, the corresponding Settings window, a 1D plot in the Graphics window, and the Objective Probe Table.
Optimal Control for Heating of a Cylinder (シリンダーの加熱の最適制御) モデルでは, この関数操作機能を使って, ある温度をできるだけ早く達成する方法を示しています. 繰り返しになりますが, ここでは時間を引数にしています.

最適化機能の配置変え

新機能や更新された機能に加え, 最適化モジュールのユーザーインターフェースへのアクセス方法も変更されています. これまで定義ノードの下にあった最適化機能は, 物理インターフェースと同じレベルへと昇格されました. この変更により, 最適化機能へのアクセスが容易になり, モデルツリーでの視認性も向上しました.

新規および更新されたチュートリアルモデル

COMSOL Multiphysics®バージョン6.0では, 最適化モジュールに, いくつかの新規および更新されたチュートリアルモデルが用意されています.