COMSOL Multiphysics^® 6.2 リリースハイライト

化学反応工学モジュールのアップデート

化学反応エンジニアリングモジュールのユーザー向けに, COMSOL Multiphysics^® バージョン 6.2 は, 2つ以上の成分の濃縮混合物を含む気液平衡のモデリングの機能強化に加え, 整合的初期化のための新機能とパラメーター推定のための新機能を提供します. これらのアップデートの詳細については, 以下をご覧ください.

蒸気と液体の界面の平衡

濃縮溶液を含む気液平衡をモデル化するための新しい機能が追加されました. この機能は, 濃縮種輸送インターフェースのさまざまな拡張機能として利用できます. 新機能の蒸気流入, 蒸気-液体界面, 蒸気-液体-混合界面を使用して, それぞれ純粋な液体表面, 上流入口, 気液混合相境界での蒸気平衡を指定できます. さらに, 移動する気液界面での蒸発と凝縮のための新しいマルチフィジックスインターフェースが, 移動メッシュを使用した二相流のモデル化に利用可能です. これらの追加により, 気液平衡のモデル化が容易になり, 以前は手動で行う必要があった凝縮と蒸発を混相流モデルに含めることが可能になります. ワイングラスからのエタノールと水の蒸発チュートリアルモデルで, これらの機能追加を見ることができます.

化学平衡の一貫した初期化

平衡反応の場合, 反応工学インターフェースの初期値ノードで新しい質量保存初期化機能を有効にすることができ, 精度と堅牢性が大幅に向上します. この機能を有効にすると, 初期状態を手動で計算する必要がなく, 化学平衡を簡単に定義できるようになります. これは, いくつかの反応が平衡状態にあると想定される複雑な反応機構に特に役立ちます. この追加内容は, 新しいアンモニア溶液における酸塩基平衡と銅のスペシエーションチュートリアルモデルでご覧ください.

パラメーター推定機能へのアクセス

化学反応工学モジュールが拡張され, 従来は最適化モジュールが必要であったパラメーター推定のための新機能が追加されました. 実験データから複数の目的を定義する機能が追加され, 勾配ベースの IPOPT ソルバー, Levenberg-Marquardt ソルバー, 勾配なしの BOBYQA ソルバーなど, さまざまなソルバーが利用できるようになりました. この機能は, 新しい木材の熱分解のチュートリアルモデルでご覧いただけます.

多孔質媒体中非等温反応流れ

非等温反応流マルチフィジックスカップリングが多孔質媒体で利用できるようになりました. 濃縮種輸送インターフェースでは, 多孔質媒体および多孔質触媒機能がサポートされています. どちらの機能でも, 流体内の反応がサポートされています. 後者の場合, 多孔質マトリックスの表面での反応もサポートされます. 伝熱インターフェースでは, 局所熱平衡モデルと局所熱非平衡モデルがサポートされています. 新しい メタン蒸気リフォマー中の非等温反応流れ チュートリアルモデルがこの新しいマルチフィジックスカップリングを説明します.

新しいチュートリアルモデル

COMSOL Multiphysics^® バージョン 6.2 では, 化学反応エンジニアリングモジュールにいくつかの新しいチュートリアルモデルが追加されました.