MEMS モジュールアップデート
COMSOL Multiphysics® バージョン 5.3a の MEMS モジュールでは, 電気機械, 熱弾性, 流体-構造相互作用, 移動メッシュマルチフィジックスカップリングが新機能とともに新しくなりました. 詳細は以下をご覧ください.
電気機械
電気機械フィジックスインターフェースは, 完成された形のマルチフィジックスインターフェースにアップグレードしました. 電気機械フィジックスをモデルに追加すると, 静電気インターフェースと固体力学インターフェースが追加され, 「電気機械力」マルチフィジックスカップリングがこれらのインターフェースを連成させて静電方程式と構造方程式を解きます. 「移動メッシュ」ノードは「変形ドメイン」および「対称サブノード」とともに「定義」セクションに追加されました. この新しいアプローチは, 電気機械のモデリングの柔軟性と設計オプションを向上させます.
熱弾性
「熱弾性」フィジックスインターフェースは完全な形にできあがったマルチフィジックスカップリングにアップグレードされました. 「熱弾性」フィジックスをモデルに追加すると, 「固体力学」インターフェースと「電熱」インターフェースが「熱膨張」と「温度連成」マルチフィジックスカップリングとともに追加され, 構造変位や温度変化, 熱弾性カップリングによって誘起される熱伝達を求解します. 「移動メッシュ」ノードは「変形ドメイン」サブノード, 「対称性」サブノードとともに「定義」セクションに追加されました.新しいアプローチは熱弾性のモデリングの柔軟性と設計オプションを向上させます.
流体-構造相互作用 (FSI)
流体-構造相互作用マルチフィジックス連成がCOMSOL® ソフトウェアの従来のバージョンのインターフェースと置き換わって新しくなりました. 新しいカップリングはいくつものシングルフィジックスインターフェースとマルチフィジックスカップリングノードを持ち合わせる現代のスタイルにマッチします. このアプローチで, FSI のモデル化に必要な構成フィジックスインターフェースにおける全ての機能が利用できます. 例えば, 剛体ドメイン, 圧電, 非線形弾性材料モデルなどです. 流体では, 全ての乱流モデルが利用可能で, 新しい境界条件も数多く備わっています. FSI インターフェースをモデルウィザードから加えると, 固体力学インターフェース, 層流インターフェース, 流体-構造相互作用インターフェースマルチフィジックス連成ノード, そして, 定義セクションから移動メッシュノードが得られます. アプリケーションライブラリの全ての FSI モデルがこの新しいカップリング機能で更新されています.
2/3相流れとFSI
MEMS モジュールライセンスと CFD モジュールライセンスを持つと, 2相, または3相の FSI シミュレーションが可能になりました. COMSOL Multiphysics® ソフトウェアのコア機能である改良された移動メッシュのおかげです.
一般化された移動メッシュ機能
「移動メッシュ」機能が「移動メッシュ」サブノードから利用できるようになりました. コンポーネントの下の「定義」ノードを右クリックするか, 「定義」ツールバーからアクセスすることができます.
移動メッシュ機能はモデルの中で空間座標を制御し, ドメインが変形, 移動するようなすべてのフィジックスに適用されます. 問題のダイナミクスに従って定常的または時間的に変形する場合に使うことができます. 例えば, 「移動メッシュ」ノードに加えられた「変形ドメイン」機能は FSI における流体ドメイン変形や, MEMS における静電的ドメイン変形に利用できます. 流体ミキサーや電気モーターなど, モデル内のパーツの回転を指定する機能もあります.
「定義」の下の移動メッシュ機能は移動メッシュを持つフィジックスインターフェースの新しいデフォルトのメカニズムです. 従来使用していた「移動メッシュ (ALE) 」フィジックスインターフェースは現在でも利用できますが, 新しい移動メッシュ機能によって置き換えられます.
一般化平面歪
2D 固体力学では一般化平面歪定式化が3つ目のオプションとして平面歪と平面応力の近似に開発されました. 一般化平面歪近似は, 長くて一定の断面をもつ構造の中心部分をモデル化するためのものです. このような場合は標準の平面歪定式化とは異なり, 非ゼロの面外歪が存在します.
デフォルトプロットの改善
構造力学フィジックスインターフェースのデフォルトプロットがさらに情報量のある可視化になりました. それに対応してアプリケーションライブラリのチュートリアルも更新されました. 新しくなった点の主要なものは次の通りです:
- フォン・ミーゼス応力プロットのカラーテーブルがレインボーライトになりました.
- 固有周波数と線形バックリングスタディのモード形状プロットのカラーテーブルが AuroraBorealis になりました.
- モード形状プロットにおいて, 物理的な意味を持たないモード振幅のレジェンドをなくしました.
- 「梁」と「トラス」インターフェースの断面力プロットが, カラー範囲が対称であるウェーブになりました.
- これにより張力と圧縮の区別が一目でできるようになりました.
- 接触解析において接触圧力プロットがラインプロット (2D) またはコンター (3D) として加わりました.
- 応力線形化のデフォルトプロットにレジェンドが加わりました.
- 「シェル」インターフェースの非変形ジオメトリプロットが新しい色になりました.
- 塑性やクリープなどの材料モデルが使われる場合, 有効塑性歪など, 関連する歪量のコンタープロットが応力プロットと重ねて描画されます.
- 非線形構造材料モジュールとジオメカにクスモジュールに適用されます.
- 「疲労解析」インターフェースでは予想される破壊サイクルと使用因子にトラフィックカラーが使用されます. 疲労解析モジュールに適用されます.
主値プロットの改良
主応力プロットタイプが任意のテンソル主値の可視化に利用できるようになりました. 最近のバージョンでは単一の既定応力だけが選択できましたが, 新しく主値に対応するベクトルの回転方向をマニュアルで入力できるようになりました.
「固体力学」インターフェースの結果に新しい主歪 (対数) が加わりました. これは対数表示の主歪, または"本当の"歪です. 空間固定の座標系で与えられる向きで定義してあり, 幾何学的に非線形な解析における変形ジオメトリ上のプロットに向いています.
また, 新しく, 主応力ラインプロットタイプが加わりました. これは「シェルとプレート」インターフェースに特に有用です. 従来は主値プロットはボリュームとサーフェスでしか利用できませんでした.
熱応力に伴う機械損失
「熱膨張」マルチフィジックス連成ノードが熱応力による機械損失を自動で扱えるようになりました. 対応するドメインの熱伝導方程式に発生した熱源が追加されます. 「熱膨張」ノードに新しく設けられた「熱源」セクションにある「機械損失」チェックボックスでこのオプションを選択することができます.