音響モジュールアップデート

COMSOL Multiphysics® バージョン 5.4 の音響モジュールでは圧力おんきょうのポート境界条件, 非線形音響 Westervelt モデル, 大気減衰モデルなどが加わりました. 音響モジュールのアップデート詳細については以下をご覧ください.

Ports in Pressure Acoustics

The new Port boundary condition is used to excite and absorb acoustic waves that enter or leave waveguide structures, like ducts and channels. The condition is available in the Pressure Acoustics, Frequency Domain interface. To provide the full acoustic description at a waveguide inlet/outlet, you can combine several port conditions on the same boundary. By including all relevant propagating modes in the studied frequency range, the port conditions provide a near-perfect, nonreflecting radiation condition for waveguides. In essence, this represents a multimode expansion of the solution. In many cases, using the new Port condition provides superior ease of use and accuracy compared to a plane-wave radiation condition or a perfectly matched layer (PML) configuration. The Port condition allows for automatic S-parameter (scattering parameter) calculation and has built-in postprocessing variables to easily compute the transmission loss (TL) or the insertion loss (IL). The Port condition can also be used as a source to just excite a system with a specific mode.

You can see this functionality used in the following models:

A screenshot showing the Port feature settings in the COMSOL Multiphysics version 5.4 GUI. ポート機能設定ウィンドウ. 矩形ポートが選択され, 平面波モード (0,0) の励起が有効化されています. ダクト系における計算された散乱係数と透過損失, そして 710 Hz における圧力の等値面プロットの結果が表示されています. ポート機能設定ウィンドウ. 矩形ポートが選択され, 平面波モード (0,0) の励起が有効化されています. ダクト系における計算された散乱係数と透過損失, そして 710 Hz における圧力の等値面プロットの結果が表示されています.

非線形音響 Westervelt モデル

高い音圧レベルでは, 線形音響波動方程式では圧力波の伝播を記述できません; 完全非線形2階微分波動方程式を解く必要があります. この方程式は積算の非線形効果が主要な局所非線形効果である場合, 例えば, 伝播距離が波長よりも大きい場合, に簡略化できます. 圧力音響 (時間領域) インターフェースの新しい非線形音響 (Westervelt) 機能がそれを実行します. この機能はトランスデューサー, 音響ホーン, 超音波などで経験されるような時間領域における高い振幅の音響をモデル化することができます. また, ショック捕獲安定化と特別なソルバーハンドリングも含みます.

この機能は次のモデルで使われています:

A model of the 1D Westervelt equation. 非線形伝播とショック形成. 非線形音響 (Westervelt) 機能を使ってモデル化されています. ショック形成後の伝播が特別な安定化を使って捕獲されています. 非線形伝播とショック形成. 非線形音響 (Westervelt) 機能を使ってモデル化されています. ショック形成後の伝播が特別な安定化を使って捕獲されています.

大気と海洋の減衰材料モデル

2つの新しい減衰材料モデルが加わりました. 1つは大気中の空気で, もう1つは海洋水で, 圧力音響 (周波数領域) インターフェースと音線音響 インターフェースに含まれています. これらのモデルは両方とも半解析的で, 膨大な測定データで校正されています. それらには粘性, 熱伝導, 種々の分子の緩和の効果が含まれています. 大気減衰モデルは ANSI 基準 S1.26-2014 に則っています. モデルは大気圧 (絶対圧), 温度, 相対湿度に依存します. 海洋減衰モデルは温度, 塩分, 深さ, pH 値に依存します. このモデルには準拠する基準はありません. 両方のモデルにおける減衰効果は大きな距離の伝播と高周波数プロセスにとって重要です. また, これらのモデルは, 非常に大きな距離の伝播をシミュレートする音線追跡シミュレーションにおいても重要です. この機能は次のモデルに使われています:2D軸対称ジオメトリの水面下音線追跡チュートリアル

外場計算

外場計算が従来の遠方場計算を更新した機能として新たに加わりました. 遠方場計算機能輻射場の計算を行うことができましたが, (レイリー半径より大きな距離の) 遠方場だけではなく, 計算領域の外の任意の点での計算も可能でした. 実際, 典型的な使用は遠方場計算ではありませんでした. 新しくなったこの機能は同じような使い方ができますが, 機能名とユーザーインターフェースが新しいデフォルトとともに変わりました. モデル設定の際には対称面の可視化ができるようになり, 新しいデフォルトプロットが生成されます.

この機能は次のモデルで使われています:

A demonstration of the Exterior Field Calculation feature in COMSOL Multiphysics version 5.4. 新しい外場計算機能のユーザーインターフェース. グラフィックスウィンドウでは評価用の対称面がハイライトされています. 新しい外場計算機能のユーザーインターフェース. グラフィックスウィンドウでは評価用の対称面がハイライトされています.

圧力音響 (時間領域) インターフェースの外場計算

外場計算機能が, 時間-周波数FFTスタディステップと組み合せると, 全ての過渡圧力音響インターフェースで利用できるようになりました. この機能は変数とデフォルトプロットを生成して, 時間依存のシミュレーションデータが時間-周波数FFTスタディステップで周波数領域に変換された後それを表示します. この機能は次のチュートリアルで使われています: 音響ホーン: Westervelt モデルを使った非線形音波伝播.

さらなる境界要素機能

ハイブリッド BEM-FEM モデルのソルバー手法が改善され, ほとんどのモデル, 特にFEMによる自由度が大部分を占めるようなモデルで大きな速度向上が見られます. 圧力音響 (境界要素) インターフェースが拡張され, 従来次のような場合のFEMベースのインターフェースでしか利用できなかったような機能が利用できるようになりました:

  • 熱粘性音響インターフェースと多孔質弾性波インターフェースへのマルチフィジックスカップリング
  • 内部速度境界条件と内部変位境界条件
  • インピーダンス境界条件における全てのインピーダンスモデル (例えば RCL 回路, 生理学など)
A hybrid BEM-FEM model of a loudspeaker. ハイブリッド BEM-FEM モデルの新しいソルバー手法で, BEM-FEMによるマルチフィジックスモデル Vibroacoustic Loudspeaker Simulation の計算が大幅に高速になりました. ある特定のハードウェア構成で求解時間は 1時間 37分から 51分に短縮しました. ハイブリッド BEM-FEM モデルの新しいソルバー手法で, BEM-FEMによるマルチフィジックスモデル Vibroacoustic Loudspeaker Simulation の計算が大幅に高速になりました. ある特定のハードウェア構成で求解時間は 1時間 37分から 51分に短縮しました.

線形化ナビエ・ストークスと熱粘性音響の断熱定式化オプション

線形化ナビエ・ストークス熱粘性フィジックスインターフェースに新しい支配方程式のオプション断熱定式化が加わりました. この定式化は, 粘性効果に比べて熱効果が比較的小さいような水などのほとんどの液体でよい近似を与えます. この新しいオプションの効果はモデルの計算コストが減るkotodesu. これは, 温度を直接圧力と関係付けて (断熱), 温度 の自由度 (DOF) を求解しないからです.

この機能は次のモデルで使われています:

線形化ナビエ・ストークスの勾配項抑制 (GTS) 安定化

線形化ナビエ・ストークスフィジックスインターフェースに新しいオプション 勾配項抑制安定化が加わりました. 線形化ナビエ・ストークス方程式系が解かれる際, ケルビン・ヘルムホルツ不安定と呼ばれる線形の物理的不安定波が発達します. これらの不安定性は時間とともに, または反復ソルバーで求解中に発展することがあります. この原因となるのは支配方程式系における反応項です. ある種の問題ではこれらの不安定性の発達を, 音響解を残しながら平均流の勾配をキャンセルすることで抑制することができます. これが勾配項抑制安定化と呼ばれるものです. 除外される項は反応項対流項にグループ化されます.

新しいデフォルトプロット

いくつかのデフォルトプットが新しくなりました. カラースキームがフィジックスインターフェースを通して同じになりました. 例えば, Wave カラーテーブルは対称な値域で音響圧力の表示に, ThermalEquidistant カラーテーブルは熱粘性音響での音響温度変化の表示に使われます. 固有周波数解析の場合は, 新しい評価グループがデフォルトで固有周波数, ダンピング比, 品質因子などの情報とともにデフォルトで追加されます. 外場のデフォルトプロットが新しい機能とデフォルトとともに更新されました.

この新しい機能は次のモデルで使われています:

背景場と入射場の変調ガウシアンパルスオプション

過渡圧力音響インターフェースに変調ガウシアンパルスを背景音響場または入射音響場として定義する新しいオプションが加わりました. このオプションは時間領域での散乱問題のモデル化に便利です. この場合, 変調されたガウシアンパルスをチューニングして, あるキャリア周波数周りのバンド限定周波数コンテントを作ることができます.

潜水艦によるガウシアンパルスの伝播と散乱のアニメーション. 等値面で可視化.

音響固有量の追加による空気と水の材料更新

ビルトイン材料の空気水 (液体)が更新されて, 音響問題を単純にモデル化できるようになりました. どちらの材料にもバルク粘度, 熱膨張係数の値が追加されました. 水では温度依存の比熱式が追加されました. この新しい材料データを使うには, 従来のモデルで古い材料を削除し, 再度材料追加ウィンドウから同じ材料を追加してください.

この機能は次のモデルで使われています:

A screenshot of the COMSOL Multiphysics GUI with a model that uses the Bulk viscosity property. 熱粘性音響または線形化ナビエ・ストークスフィジックスインターフェースでバルク粘度を加えたモデル. 熱粘性音響または線形化ナビエ・ストークスフィジックスインターフェースでバルク粘度を加えたモデル.

音線音響アップデート

音線音響インターフェースでは吸収または減衰する媒質中での強度計算法が改善され, メッシュ化されていない音線追跡モデルやジオメトリ外のボイドドメインでのドメイン減衰を考慮できるようになりました. 強度計算の精度自体も向上しました. 新しいセクション, 外部および非メッシュ化ドメインの材料特性が音速, 密度, 減衰係数の入力フィールドとともに追加されました. 条件では, レイリー粗さモデルで整合性が改善されました. 音線音響インターフェースでは強度計算のオプション, パワー計算が追加され, 強度計算よりも少ない数の自由度を使って境界での音圧レベルを計算し, インパルス応答をプロットすることができます. 強度か音圧レベルを音線に沿ってプロットするには強度計算もしくは強度とパワーを計算を選択する必要があります.

この新しい機能は次のモデルで使われています:

重要な増強とバグフィックス

一般増強

  • グリッドデータセットのプロットをプレビューする際にジオメトリを表示可能に. ジオメトリはグリッドデータセットを参照するカットポイント, カットライン, カットプレーンに合わせて表示.
  • 極座標プロットで軸方向と範囲の制御を改善
  • 輻射パターンプロット, グリッドデータセット, パラメーター化曲線/面データセットでのメッシュ化ドメイン外の評価では空間座標を常に使用.
  • 線形化ナビエ・ストークスインターフェースで密度表示の理想気体オプションが利用可能に
  • 線形化ナビエ・ストークスインターフェースと熱粘性音響インターフェースで音速参照オプションで圧縮性と熱膨張を定義
  • 線形化ナビエ・ストークスインターフェースで, 背景流れが大きな勾配を持つ場合の安定化を改善.
  • ほとんどのフィジックスインターフェースで周期条件にユーザー定義オプションを追加. どの場の成分が連成するかを制御可能に

ポスト処理増強

  • 圧力音響 (周波数領域) インターフェースでインピーダンス変数を既定加速度, 速度, 変位境界で定義
  • 熱粘性 (境界モード) インターフェースで集中特性インピーダンスの既定変数が可能に
  • インピーダンス境界条件で垂直入射吸収 (acpr.imp1.alpha\_n)とランダム入射吸収 (acpr.imp1.alpha\_ran)のポスト処理変数を定義

ソルバー増強

  • 熱粘性音響を使った固有周波数問題の反復ソルバー提案
  • 全てのソルバー提案で領域分割前処理に基づく分離オプションを提案. この設定は完全パラレル化可能.
  • FEMおよびBEMベースのインターフェース, 固体-シェルマルチフィジックスカップリングと圧力音響を使用の際, 反復ソルバー提案を生成.

新しいチュートリアルモデルとアプリケーション

COMSOL Multiphysics® バージョン 5.4 ではいくつかの新しいチュートリアルモデルとアプリケーションが加わりました.