構造力学モジュールアップデート

COMSOL Multiphysics® バージョン 5.4 の構造力学モジュールでは応答スペクトル解析機能, 代表体積要素を用いた材料データーの一様化, 材料アクティベーションなどのアップデートが含まれています. これらの新しい構造力学機能の詳細は以下をご覧ください.

応答スペクトル解析

応答スペクトル解析の新しい機能が加わりました. 短く非決定的な動的事象のピーク応答を見積もります. SRSS, CQC (der Kiureghian), 絶対値和, 10パーセント, グルーピング, 2重和 (Rosenblueth) など, いくつかのモード結合法がサポートされています. 4つの空間結合法 SRSS, 100-40-40, CQC3, SRSS3 も利用可能です. 周期モードと剛体モードを Gupta と Lindley-Yow 法を使って分離し, 固有モードでは表示されない質量の静的補正を加えることができます. この機能はモデルウィザードで既定スタディタイプの応答スペクトルを選択することで利用できます.

次の2つのモデルがこの機能を使っています:

A response spectrum analysis of a structure experiencing an earthquake. 地震における, ある骨格構造の最大変位 (左). 水平および垂直設計応答スペクトル (右). 地震における, ある骨格構造の最大変位 (左). 水平および垂直設計応答スペクトル (右).

周期材料の一様化のための代表体積要素 (RVE)

多くのタイプの非一様材料に対して, 周期境界条件を使って最小周期構造を解析することにより, 有効材料データを計算することができます. このようなセルは代表体積要素 (RVE) と呼ばれます. 新しいセル周期性機能はそのようなセルの境界条件と荷重の設定を自動化し, マクロスコピックな解析のための異方性弾性データと熱膨張係数を計算することができます. 新しいモデル, Micromechanical Model of a Composite, がこの機能を使っています.

A demonstration of the Cell Periodicity feature in COMSOL Multiphysics version 5.4. マトリックス中の1本のファイバーを表す周期セルの6つの基本的な変形モード (カラーマップは有効応力) マトリックス中の1本のファイバーを表す周期セルの6つの基本的な変形モード (カラーマップは有効応力)

軸対称解析のためのシェルインターフェース

軸対称シェル構造は工学ではよく見られます. シェルインターフェースが2D軸対称モデリング用に加わりました. これによりこのような構造の解析がより効率的にできるようになりました. このインターフェースは音響-構造相互作用のようなマルチフィジックス問題の解析で特に重要です.

この機能は次のモデルで使われています:

A model of an axially symmetric shell structure. 自由円筒シェルの第1固有モード (回転プロットで表示) 自由円筒シェルの第1固有モード (回転プロットで表示)

新しい流体-構造相互作用カップリング

流体-構造相互作用 (FSI) カップリングの利用がシェルとメンブレインまで拡張されました. 同時に流体-構造相互作用マルチフィジックスカップリングが再編成され, 流体ドメインの変形が重要な場合と, そうでない場合の両方で同じカップリングを使うように更新されました. また, アセンブリ中における流体-構造相互作用のための新しいマルチフィジックスカップリングでは, 構造と流体の間の界面が必ずしもメッシュを共有する共通の境界を持つ必要がありません. この機能は軟体, 剛体を含む FSI のためのマルチボディダイナミクスモジュールの拡張バージョンの中で利用できます. 詳細は Multibody Dynamics Module page をご覧ください.

この機能は以下のモデルで使われています:

An FSI model of a ball check valve. ボールチェックバルブを流れる流れ (流線と圧力のカラーマップ) ボールチェックバルブを流れる流れ (流線と圧力のカラーマップ)

添加物製造における材料活性化

多くの製造プロセスで材料は逐次混合されます. ほとんどの場合, 材料は応力なしの状態で添加されるのが普通です. 線形弾性材料ノードの新しい属性である活性化機能ではユーザー定義の条件に基づいて材料を追加したり, 削除したりすることができます. この条件には, 例えば, 時間やパラメーター値や温度に依存するような, 任意の式を使うことができます. この機能は Layered Plate の中に使われています.

解析的法線方向を用いたローラー条件

新しいローラー境界条件では, 構造が滑る面を解析的に指定することができます. この機能は有限変位と回転も可能にします. この機能によって, インポートされたメッシュで起こりうる不完全な境界表面を避けることができます.

An example that uses the Roller boundary condition. 円筒面で定義されたローラー条件がこのバーの中間位置で使用されています. バーは自由にその軸の周りを回転することも, 軸に沿って併進することもできます. 円筒面で定義されたローラー条件がこのバーの中間位置で使用されています. バーは自由にその軸の周りを回転することも, 軸に沿って併進することもできます.

反作用のない対称条件

構造力学インターフェースにおける対称条件が, 固定面だけではなく, 対称面が法線方向に自由に移動する場合にも利用できるように拡張されました. 反作用のない対称条件は全反作用力がないような構造を途中で切取る場合に使います. 完全に併進が自由であるだけでなく, 対称面も変位したり, 総反作用力を持つことができます. この機能は Surface Resistor の中で使われています.

A circuit board model with sliding symmetry plane. 電子回路基板のこのスライスで, 一番右のカットが平面を保ったまま温度で膨張することができます. 電子回路基板のこのスライスで, 一番右のカットが平面を保ったまま温度で膨張することができます.

モード重ね合わせの新しいスタディ

モード重ね合わせのための2つの新しい定義済みスタディシーケンスが加わりました: 時間依存 (事前応力下) (モード)周波数領域 (事前応力下) (モード)です. どちらの場合も, 3つのスタディステップが生成されます. 最初のものは定常ステップで, 次の固有周波数計算に使う事前応力状態を決定します. これらのスタディを使うと, モード重ね合わせ法で事前応力下の構造を著しく簡単に解析することができます. これにより, いくつかのダイナミクス解析用のスタディタイプの名前が変更になりました.

A plot for studying modal superposition. 事前応力有り/無しでの荷重周波数の関数としての変位振幅と位相. 事前応力有り/無しでの荷重周波数の関数としての変位振幅と位相.

バーガーズ粘弾性モデル

バーガーズモデルが粘弾性材料モデルのリストに加わりました. これは流体と似た構成方程式で, 応力下では長期間安定ではありません. 例えば, バーガーズモデルは土壌や生物材料のモデル化に使用することができます.

A demonstration of the Burgers model. 粘弾性のバーガーズモデルの模式図 粘弾性のバーガーズモデルの模式図

エッジとポイントの剛体コネクター

機械アセンブリには剛体コネクターは重要な方法です. 剛体コネクターの選択で境界, エッジ, ポイントの組合せが可能になりました. また, エッジやポイントレベルで剛体コネクターを直接加えることができるようになりました. ポイント連結はボルトやリベットで便利です.

剛体コネクター機能のフレキシブル定式化

剛体コネクターの2つの定式化, 剛体フレキシブルができました. デフォルトの剛体定式化では, 全ての選択境界, エッジ, ポイントが, まるで共通の剛体で連結されているかのようにふるまいます. ある場合には, これが不要な剛体化または非現実的なローカル応力を生じることがあります. その際にはフレキシブル定式化に切替えることができ, その拘束が平均的な意味で適用されます. フレキシブル定式化は純粋な境界選択のある剛体コネクターでしか適用できません. 選択がエッジかポイントを含む場合には使用できません.

外部材料のためのユーティリティ関数

外部材料機能を使って自分の構成方程式をプログラムする際, あるコードセグメントを繰り返し使います. それはいろいろなテンソル操作, 主値や回転, 逆行列の計算などを含みます. 新しいライブラリでは20を越えるユーティリティ関数がそのようなよく使う操作をカバーし, 材料モデルのコードを書く時間を大幅に節約してくれます.

新しいチュートリアルモデル

COMSOL Multiphysics® バージョン 5.4 ではいくつかの新しいチュートリアルモデルが加わりました.