光線光学モジュールアップデート
COMSOL Multiphysics® バージョン 5.4 の光線光学モジュールではパーツライブラリを完全にオーバーホールして, 新しいパーツ変数とともに精度を向上させました. 閉じた系に対してさらにロバストになった強度とパワー計算, 熱-光学係数を含む光学分散モデルなどが含まれています. 光線光学モジュールのアップデート詳細は以下をご覧ください.
パーツライブラリ改善
COMSOL Multiphysics® バージョン 5.4 では光線光学モジュールのパーツライブラリが完全にオーバーホールされました. 新しいパーツでは, 従来のバージョンで4つの面に分割されていた反射, 屈折面が1枚の境界になりました. これによりプロットのためのサーフェス選択が簡単になり, 光線の反射, 屈折の計算精度が向上しました.
改善に加えて, 球面ミラー 3D, 矩形平面環 3D, 楕円平面ミラー 3D の新しいパーツが加わりました.

この新しい機能は次のモデルで使われています:
- bow_tie_laser_cavity
- double_gauss_lens
- double_gauss_lens_parametric
- hubble_space_telescope (New)
- laser_cavity_thin_lens
- newtonian_telescope (New)
- petzval_lens
- petzval_lens_stop_analysis_isothermal (New)
- petzval_lens_stop_analysis (New)
- solar_dish_receiver
- thermally_induced_focal_shift
- two_mirror_laser_cavity
- white_pupil_echelle_spectrograph
光学分散モデル
ビルトインの光学分散モデルが追加され, 波長依存屈折率の指定が便利になりました. いくつかのガラス製造メーカーからの標準分散関係 (セルマイア係数など) が含まれています. 温度依存のセルマイア分散モデルも利用可能になり, 屈折率を波長と温度の関数で定義できるようになりました.
この新しい機能は次のモデルで使われています:
- double_gauss_lens
- petzval_lens
- petzval_lens_stop_analysis_isothermal (New)
- petzval_lens_stop_analysis (New)
- white_pupil_echelle_spectrograph
光線強度とパワーの新しい計算アルゴリズム
COMSOL Multiphysics® バージョン 5.4 では光線強度とパワーの計算が大きく改善しました. 新しいアルゴリズムでは従来のバージョンに比べて格段にロバストになりました. 光線が多数回反射, 屈折をするような閉じた系で, 波面がきちんとした形を持っていない場合に特に改善が見られます. また, 新しいオプションとして, 強度ではなく, パワーを計算するオプションが加わりました. これは光線強度の可視化よりも印加熱源の計算が重要な場合に便利です.
この新しい機能は次のモデルに使われています:
吸収材質における光線追跡の精度向上
バージョン 5.4 では, 光線の減衰効果やゲイン媒体が光線強度という点で前のバージョンよりもより精度よくモデル化できるようになりました. 一様吸収またはゲイン媒体での指数関数的な成長, または減衰の式が整理されて, ソルバーが取る時間ステップによる影響が少なくなりました. これにより, 吸収またはゲイン媒体を通る光線の追跡に非常に大きな時間ステップ, または大きな光路長間隔を使うことができるので計算も速くなります. この機能は Thermally Induced Focal Shift のモデルで使われています.
光線出射における波長分布
多波長光線を出射する場合, 従来は周波数のみの指定しかできませんでしたが, 新しいバージョンでは周波数, または真空中波長の分布を指定することができるようになりました.
この機能は次のモデルで使われています:
- achromatic_phase_shifter
- antireflective_coating_multilayer
- distributed_bragg_reflector
- white_pupil_echelle_spectrograph
光線-境界相互作用のジオメトリ法線使用
「幾何光学」インターフェースでの面法線方向の計算方法を新しいオプションで制御できるようになりました. 面法線方向の正確な計算は光学系のモデリングの信頼性にとって重要です. 新しいバージョンでは, 反射や屈折などの光線-境界相互作用の計算を境界メッシュ法線を基準に実行するか, パラメーター化されたジオメトリ法線を基準に実行するか (可能な場合) の選択をすることができます. 外部荷重や熱応力などによってメッシュ変形が起こるような現象を取扱うモデルでは常にメッシュ法線基準が採用されます.
この機能は次のモデルで使われています:
- double_gauss_lens
- double_gauss_lens_parametric
- hubble_space_telescope (New)
- newtonian_telescope (New)
- petzval_lens

新しいチュートリアルモデル
COMSOL Multiphysics® バージョン 5.4 では新しいチュートリアルモデルが追加されました.
ペッツバルレンズ STOP 解析

アプリケーションライブラリで検索:
petzval_lens_stop_analysis
ペッツバルレンズ STOP 解析 (等温)

アプリケーションライブラリで検索:
petzval_lens_stop_analysis_isothermal
ニュートン望遠鏡

アプリケーションライブラリで検索:
newtonian_telescope