電気放電モジュールアップデート
COMSOL Multiphysics® バージョン 6.4 では, 電気放電モジュールを利用のユーザー向けに, スイッチングアークシミュレーションの高速化, 安定性と計算効率の向上に加え, 浮遊電極およびその電荷輸送相互作用をモデル化する機能が追加されました. これらのアップデートの詳細については, 以下をご覧ください.
より効率的なスイッチングアークシミュレーション
アーク放電 マルチフィジックスインターフェースには, いくつかの機能強化が加えられました. 具体的には, カール要素の移動メッシュおよびメッシュ再構築ソルバーの改善, 収束性を向上させるための材料データおよびモデル定式化が最適化されています. 磁気流体力学, 移動メッシュ, 外部回路効果を統合した完全連成 3D スイッチングアークモデルは, 標準的な PC 上でもわずか数時間で解析できるようになりました. これらの改良は, チュートリアルモデル 低電圧遮断器におけるスイッチングアーク放電 で確認できます.
低電圧遮断器におけるスイッチングアーク消滅過程における温度分布 (左) と電流密度分布 (右).
よりロバストな電気放電シミュレーション
電気放電 インターフェースの数値定式化, 初期値, および境界条件を改善することで, 安定性と計算効率が大幅に向上しました. 時間依存解析では, 上流拡散安定化に新しいオプション 安定化時間スケールへの時間ステップの影響を含める が追加されました. さらに, 初期値および境界条件が改良され, ソルバーへ優れた初期解を与えるようになりました. これらの機能拡張については, チュートリアルモデル 固体誘電体内部における部分放電 および 表面誘電体バリア放電 で確認できます.
浮遊電極機能
新しい 浮遊電極 機能は, 浮遊電極およびその電荷輸送との相互作用をモデル化するための特殊な機能を提供します. この機能では, 電極に流れ込む放電電流を考慮して, 電極の浮遊電位が自動的に計算されます. 代表的な応用例は, 浮遊金属粒子のモデリングです. 浮遊金属粒子は, 局所的な電界を歪ませ, 早期放電活動を促進することから, 高電圧絶縁システムの劣化要因として広く知られています. この新しい機能は, チュートリアルモデル 浮遊金属粒子から発生するストリーマー で確認できます.
新しい半導体アーキテクチャのマルチフィジックスモデリング
半導体モジュールの 電荷キャリア輸送 インターフェースでは, 熱解析や電磁界解析と連成したカスタマイズ可能な電荷キャリア輸送モデルを容易に統合できます. この機能は, 複数の物理現象と連成する高度な電荷輸送モデルが求められる, 新しい半導体アーキテクチャのモデリングに最適です. このマルチフィジックスモデリングワークフローは, チュートリアルモデル メモリスタ で確認できます.
端子の対称性
端子 機能において, 面積乗算係数 (詳細フィジックスオプション を有効にした後, 詳細設定 セクションで利用可能) をサポートするようになりました. これにより, 端子面積をスケーリングすることで対称性を考慮し, モデルの一部のみが表現されている場合でも, 接続された回路や負荷がデバイス全体を認識できるようになります. 例えば, モデルがデバイスの半分を表している場合は, 乗数として2を使用する必要があります. このアップデートは, 静電場 インターフェース, 電流 インターフェース, 磁場および電場 インターフェースで利用可能です.
新しいチュートリアルモデル
COMSOL Multiphysics® バージョン 6.4 では, 電気放電モジュールにいくつかの新しいチュートリアルモデルが追加されました.











