ご質問はこちらまで:
support@comsol.com

伝熱モジュールアップデート


COMSOL Multiphysics® バージョン6.4では, 伝熱モジュールを利用のユーザー向けに, 関与媒質における輻射のパフォーマンスの改善と新しい多波長モデル、および鏡面屈折のモデリングのサポートが導入されました. これらのアップデートの詳細については, 以下をご覧ください.

関与媒質における輻射のパフォーマンスの改善

離散縦座標法 の新しい定式化が実装されました. この定式化は, 現在 輻射 (関与媒質) および 輻射 (吸収散乱媒質) インターフェースのデフォルトの離散化法となっています. 改良されたソルバー設定とともに, この定式化はCPU時間とメモリ要件を大幅に軽減し, 特に多数の方向を持つ求積セットにおいて顕著です. 以下のチュートリアルモデルは, これらの改善を実演します:

新しい定式化によってパフォーマンスがどのように向上するか, 更なる例については以下の表を参照してください. この表では, 定式化がさまざまなモデルの計算時間にどのように影響するかを比較しています.

モデル 6.3 旧デフォルトソルバー 6.4 新デフォルトソルバー スピードアップ
ボイラー — 粗いメッシュ — T8 求積セット 5 h 1 min 5 s 57s 316x
ガラス板 — 粗いメッシュ — T8 求積セット 3 h 30 min 50 s 7 min 51s 26x
有限円筒媒体の放射熱伝達 10 min 7 s 37s 16x
離散縦座標法求積セットによる関与媒体輻射を伴う伝熱 — T8 求積セット 1 h 34 min 57 s 45s 126x

旧デフォルトソルバーと新デフォルトソルバーを使用した場合の, 多数の輻射方向を計算したさまざまなチュートリアルモデルの計算時間.

灰色ガス加重和モデル

段階的な灰色モデルに加え, 新しい多波長モデルである 灰色ガスモデルの加重和輻射 (関与媒質) インターフェースで利用できるようになりました. このオプションにより, 非灰色ガスを, それぞれ異なる放射特性を持つ複数の灰色ガスの混合物としてモデル化することが可能になります. これらのガスの複合的な寄与により, 波長スペクトル全体にわたる実際のガス挙動を正確に表現できます. このアプローチは, 特に燃焼分野で重要です. この新機能は, チュートリアルモデル 燃焼室 および 排煙ダクトの壁面温度予測 でご覧いただけます.

モデルビルダーに輻射 (関与媒質) ノードが強調表示され, 対応する設定ウィンドウと, グラフィックスウィンドウに燃焼室モデルが表示されている COMSOL Multiphysics UI.
灰色ガスモデルの加重和 を選択した場合の, 輻射 (関与媒質) インターフェースの設定.

表面間輻射インターフェースにおける屈折

表面間輻射 および 軌道熱負荷 インターフェースにおいて, スネルの法則に従った屈折をモデル化できるようになりました. この新機能は, 太陽放射やレーザー光源などの平行光源による輻射伝熱をモデル化する際に特に役立ちます. この機能をサポートするために, 2つの新機能 屈折界面誘電体窓 が導入されました. どちらの機能もフレネルの法則を用いて鏡面反射率と透過率を定義します. 誘電体窓 機能は, 入射角に応じて輻射を吸収する薄い誘電体層も加えてモデル化します. この新機能は, チュートリアルモデル 屈折を伴う輻射 で確認できます.

凸 面鏡が配置され, 熱分布がカラースケールを使用して表示された 3D 部屋モデル.
曲面鏡で反射・凸レンズを通過する照射によって生じる温度分布.

新しいチュートリアルモデル

COMSOL Multiphysics® バージョン 6.4 では, 伝熱モジュールにいくつかの新しいチュートリアルモデルが追加されました.