電気めっきモジュール
電気めっきモジュールで電着プロセスをモデル化

陽極と陰極の両方で完全な Butler-Volmer の反応速度論を持つ2次電流分布を想定した装飾用電気めっき. この部品の前面および背面上のめっき濃度が表示されています.
電気めっきセルの重要な全ての特性の解析
モデリングとシミュレーションは電着プロセスを理解し, 最適化を図り, 制御するためのコスト効率の高い手法です. 典型的なシミュレーションでは, 電極表面の電流分布, めっき層の厚さと組成が計算されます. セル構造, 電解質構造, 電極反応速度, 作動電圧, 電流, 温度効果など, 重要なパラメーターをシミュレーションによって詳細に調べることができます. こうしたパラメーターに関する情報により, 材料損失やエネルギー損失を最小限に抑えながら, 電気化学セルの作動条件やマスクの配列と設計を最適化し, 表面の品質を確保することができます.
多種多様な電気めっきアプリケーションへの適応
電気めっきモジュールは幅広い分野で応用されており, 電子機器や電子部品などの金属めっき, 防食や摩耗の保護, 装飾用めっき, 薄く複雑な構造の部品の電鋳法, エッチング, 電子加工, 電解採取, 電気製錬などに活用されています. 電気めっきモジュールを利用して, 共有する全ての現象を検討し, これらを同時にシミュレーションすることができます. さらに具体的に言えば, 電流輸送と保存, 化学種輸送, 電荷平衡, 電気化学反応速度を説明する式を連結することができます. いくつかの関連する現象を構成する機能があり, 電極表面のめっきの質, 形, 厚さの正確な評価を得ることができます.
電気めっきモジュールの中のツールおよびフィジックスインターフェースは, 処理プロセスでの物理的特性を定義するために利用することができます. あらかじめ定義された公式により, 1次, 2次, 3次電流分布効果のモデルを作成することができ, これは処理プロセスにおける表面仕上げや製品品質の優れた指標になる場合が多くあります.
事例紹介




シミュレーションはワークフローの一部に
全ての化学プロセスと同様に, 用途や目的により, さまざまな規模で電気めっきのプロセスの多くの効果を研究することができます. このことはマイクロスケールレベルにおいて関連する反応の電気化学速度や, さまざまな平準化要因の影響, あるいは電気めっきの反応速度の特異な状況などを調査することができることを意味しています. 対向電極では電解触媒および電極の微細構造の選択, 特に損失を最小限にすべき電解採取に注意が必要です. このプロセスをシミュレーションし, 実験あるいはデータと比較することで, 電極表面での電荷移動作用メカニズムを理解することが可能となり, それぞれの反応ごとに交換電流密度や電荷移動係数のような電気化学反応速度パラメーターを導き出すことができるでしょう. こうしたメカニズムやパラメーターを理解することにより, より大きなスケールで電着またはエッチングの変化量や分布をシミュレーションすることができます. 同時に, 電池や電極の形状セル電圧あるいは負荷電流, マスキングやシールド, 電解質の組成と流動, ガス発生, 温度のようなシステムの稼働条件を説明できるようになります.
標準 COMSOL Desktop® ユーザーインターフェースは電気めっきモジュールの基盤ですが, COMSOL 製品に追加された他の製品すべてにも利用することができます. 電気めっきやエッチング工程を説明するフィジックスを, 熱効果を調べる伝熱モジュール, または2相流の効果を理解するための CFD モジュールのような他のモジュールと連成することが可能になります. さらに, その他の物理的特性, 例えば構造完全性のような特性を, 電気化学セルをモデル化するために使用される同じファイルをシェアしてモデル化することができます. この統合されたモデルプラットフォームは, さまざまな分野で同じプロセスに取り組んでいるエンジニアと共同研究を行うための完全なツールとなっています.
電着および電気めっきセルをモデル化するための簡易ツール
電気めっきモジュールは, 電着や電気めっきセルに関連した多くの特性のために, 数々の簡単に使えるツールを用意しています. これらには次のようなものがあります.
電気化学反応速度
反応速度式がモデル変数の任意関数となる電気化学電荷輸送反応を定義することができます. これらの事例には化学種の濃縮, 電極-電解質インターフェースにおける局所電極や電解質電位, 温度などが含まれています. 2次, 3次電流分布インターフェースではシステム上の電極反応のための交換電流密度, 陽極陰極の電荷輸送係数, 化学量論比, 平衡ポテンシャルなど電極反応速度パラメーターを入力することもできます. 既定の式もまた Butler-Volmer および Tafel の式に対応しています. さらに単電極表面にいくつかの競争反応を加えることもできます. 例えばめっき電極での水素発生などです. 3次電流分布の場合には, 電極反応を濃度変数を使って電極反応速度における電気活性種の局所濃度に結合することができます. 濃度過電圧の寄与度をネルンスト式を使って評価することもできます.
流体
薄層多孔質媒体の流れをモデル化するためのインターフェースもまたナビエ・ストークス式, ダルシー則やブリンクマン式を使って, 電気めっきモジュールで使用可能となります. CFD モジュールの適切な物理特性インターフェースをシミュレーションと共有結合することによって乱流や2層流を考慮することができます.
電気めっき層
さらに, この電気めっきモジュールは, めっきを施された層が陰極で厚みを増すに従って移動する境界をモデル化することによって, 電気化学プロセスに形状の変化の取り込みなどをサポートする機能を備えています. 後退もしくは成長する表面は, セルの動作に重要な影響を及ぼしますが, 電気めっきモジュールは, シミュレーションの一環としてこうした変化を動的に考慮します. 加えて, めっきが施された金属層あるいは陽極の厚さの変化が小さい場合では, めっき層の厚さを把握するフィジックスインターフェースを選択することもできます. また, このことで, 実際の形状を変えることなく, 電極における抵抗に影響を及ぼす方法を選択することもできます. それだけでなく, 電極の局所電気の伝導率にも影響を及ぼす厚さの変数を取り入れています. 電極の厚さの変化は, 化学量論的係数, モル質量, および電極反応のために溶着または消費された金属の密度をそれぞれ定義することによって, 電極反応速度式から自動的に計算されます.
電解質および電極における電流バランス
電解質中のイオン輸送および電極中の電子伝導の説明は, 電流および電荷保存とともに, 電気めっきモジュールの重要な要素となっています. 1, 2次電流分布インターフェースでは, 電解質中のイオン輸送は, 拡散の影響を無視すれば, イオンの泳動を通じて起こると想定されています. このことは, 電解質の中の混合が濃度勾配をほとんど除去するのに十分であるときに有効となります. 2次電流分布の公式は, 電極表面の境界層における濃度変化の分析式を使うことによって, 電極表面に近くで濃度勾配を持つ場合にも利用できます. 3次電流分布インターフェースでは, 電解質中のイオン輸送が拡散, 対流, 移動 (ネルンスト・プランク) を使って説明されます. 電流密度はイオン輸送から電流密度までのすべてを加味した寄与率を通じて, このモジュールによって自動的に値が求められます. このように, 電流密度はイオンの拡散と泳動によって説明されますが, かなりの濃度変化が電解質の中で現われていることが必要です. この電極の電流平衡は, 電極反応速度を通じて, 電極表面における電解質の中の電流平衡と完全に連動しています. オームの法則は電極における電流の伝導を説明しています. 電気めっきモジュールには金属薄膜構造を通過して伝導する電流をモデル化するためのインターフェースもあります. 例えば, めっき工程の最初のストライクをモデル化するためのインターフェースがこれに該当します. このことで電極における抵抗損を説明する電解質の電流平衡とともに, 非伝導構造上の薄く電気めっきが施された層をモデル化することができるようになります.
物質輸送
電気めっきモジュールは希釈液および濃縮液中での拡散, 対流, 泳動を通じて化学種の輸送モデルを作成します. このモジュールにはあらかじめ定義されたネルンスト・プランク式インターフェースが組み込まれていますが, 泳動は希釈種および高濃度種, 多孔質媒体における化学種輸送インターフェースにも加えられています.
伝熱
電気めっきモジュールは多孔質媒体の伝熱に特化したフィジックスインターフェースを含むので, 対流, 伝導, ジュール加熱の全てのモデルを実現できます. このモジュールは電気化学プロセスから熱収支まで対応しています. 例えば, 電極境界における熱源として活性化過電圧による損失を付け加えることができます.
機能
- 電解質の電流収支の1次, 2次, 3次電流分布インターフェース
- 電気的中性, 支持電解質または荷電平衡方程式のポアソン方程式の定式化
- 希釈溶液と濃縮溶液におけるネルンスト・プランク方程式
- 電解質における移動度と拡散率の関連付けに関するネルンスト・アインシュタイン方程式
- 電極におけるオームの法則と電流の保存
- 平衡電位と濃度過電圧に関するネルンスト方程式
- 電極反応に対する材料と電流平衡の自動連成のための自動的に練成された化学量論とファラデーの法則
- 活性化過電圧と濃度過電圧を説明する電極反応速度論
- 酸素発生など対電極の電極触媒作用
- 定義済みの速度論に関する Butler-Volmer 方程式と Tafel 方程式
- 蒸着時の電極ジオメトリにおける小さな変化による局所コンダクタンスに影響を与える電極表面における電極厚み変数
- 電極ジオメトリにおける大きな変化に対する電極と電気化学エッチングの蒸着層の移動境界
- 電極と電解質における抵抗損失によるジュール加熱
- 活性化損失による加熱
- 均一電着性の推定値
- Wagner 数の推定値
用途
- 陽極処理
- 金属セルでのバイポーラ効果推定
- クロムめっき
- クロム処理
- 電気コーティング
- 電着
- 電解着色
- 鉱業用途の電着
- プリント基板製造の電着
- 電鋳
- 電気めっき
- 電解採取
- エッチング
- フラッシュ層めっき
- 機能性電気めっき
- Hull セル
- 下地処理
- 表面仕上げ
- 耐摩耗性コーティング
- 電気化学製造業
- 電解研磨
- 電解加工
- シールドとマスキング
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