RFモジュール

マイクロ波, ミリ波デバイスの最適化

RF モジュールは, 高周波アプリケーションにおける電磁波伝搬や共振効果などの影響を解析し, 設計を最適化するのに役立ちます. RF モジュールによって, RF, マイクロ波, ミリ波業界で使用されるデバイスの性能を知り, 予測することができます.

電磁ベースであるRF マイクロ波デバイスの設計には, その製品の信頼性と高ロバスト性を確保する必要があります. 従来の電磁モデリングでは, 電磁波の影響についてしか調べることができませんでしたが, 現実世界の製品が理想的な条件で動作することはありません. 複数の物理現象が設計に与える影響について調べるには, マルチフィジックスモデリングが必要です. マルチフィジックスモデリングでは, 温度上昇や構造変形などの影響を含めて解析を拡張することができます.

COMSOL Multiphysics® シミュレーションプラットフォームのアドオンであるRF モジュールによって, RF 設計の解析を行うことができます. 単一のソフトウェア環境で, マイクロ波加熱やRF 加熱を含むシングルマルチフィジックスの条件を理想通りに生み出すことが可能です.

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ドーム状の無響室に収められたサーマルウェーブのカラーテーブルの自動車模型.

RFモジュールによる現在, 将来に向けた設計

急速に変化を続けている無線機器業界では, 技術の進歩に対応するために, 製品開発に電磁波解析が使用されています. たとえば, アンテナやRF フロントエンド (フィルター, カップラー, 電力分配器, インピーダンス整合回路など) は, 5G MIMO ネットワーク, モノのインターネット (IoT) , SatCom などの将来大きく開発が進むと予測されている技術との互換性を持っていることが大切となります.

また, ウェアラブルデバイス, 自動運転車, 最先端のマイクロ波, RF 製品といったアプリケーション開発のために自社製品をシームレスに動作させるためには, 解析ソフトウェアを用いて無線通信プラットフォームにおけるRF 干渉や互換性を評価することが重要です.

高周波電磁解析とソルバー

RF モジュールは, 標準的な高周波電磁解析で実績のある有限要素法 (FEM) に大きく依存していますが, 特定のタイプの解析に対応する交替法やソルバーも用意されています. RF モジュールに搭載されているデフォルトのソルバーによって, 解析が正しく, 設計が確かな数値解によって裏付けされていることを確信できます. 有限要素法 (FEM) は, 周波数領域および過渡解析に使用され, その際, CAD 表面の曲率に適応する, 1次, 2次, または3次のベクトルエッジ要素が使用されます. 四面体, 六面体, プリズム, ピラミッドのメッシュ要素と, 自動およびアダプティブメッシュがあります.

周波数領域解析では, 周波数スイープによって, 共振周波数, S パラメーター, 近傍場遠方場, Q 値, 伝搬定数, アンテナ特性を計算できます. モーダル法や漸近波形評価 (AWE) 法に基づくアダプティブ周波数スイープなどのモデル次数削減 (MOR) 法を使用することで, 計算効率を向上させることができます. 過渡解析では, 非線形材料, 信号伝搬と再実行時間, 超広帯域動作, および時間領域反射 (TDR) などのモデル化が可能です.

さらに, 伝送線路方程式, 陽的時間領域, ネットリストによる電気回路モデリング, 漸近散乱, および境界要素法 (BEM) などの手法や解析も利用できます.

RFモジュールでモデル化できるもの

COMSOL®ソフトウェアでさまざまなRF(高周波)解析を行うことができます.

六角形のアンテナアレイモデルのクローズアップ図.

アンテナとアンテナアレイ

アンテナアレイの反射パワー, 遠方場放射を計算し, そのパターンを知ることができます.

波の方向を示す導波管からマイクロストリップラインへの遷移モデルのクローズアップ図.

伝送路と導波管

マイクロストリップライン, コプラナー導波管 (CPW), および基板集積導波管 (SIW) を解析します.

電界を示すウィルキンソン電力分配器モデルのクローズアップ図.

カップラーと電力分配器

カップラーと電力分配器の整合性, 分離性, 結合の数値解析のために, Sパラメーターを計算します.

電界を示す回路基板モデルの拡大図.

EMI, EMC アプリケーション

クロストークとアイソレーションを含む, 電波障害 (EMI) と電磁両立性 (EMC) を解析します.

マイクロストリップラインサーキュレータのモデルのクローズアップ図.

フェリ磁性デバイス

フェライト共振器やサーキュレーターなどのマイクロ波部品に磁性材料を含みます.

電界を示す表面実装デバイスのモデルのクローズアップ図.

フィルター

熱や構造の物理現象などを含めて, マイクロストリップフィルター, CPW フィルター, キャビティフィルターの性能を解析します.

内部の熱分布を示す電子レンジモデルのクローズアップ図.

電子レンジ

完全波動電磁気解析と時間依存の伝熱シミュレーションを組み合わせて行います.

磁場を示すMRI鳥かごモデルのクローズアップ図.

バイオメディカルおよびMRI

マイクロ波治療やMRI の, インプラントデバイスとの相互作用をシミュレーションします.

RCSと背景磁場を示すPEC球体モデルのクローズアップ図.

散乱とRCS

完全波動法, 漸近法を使用して, レーダー断面積 (RCS) や一般的な散乱場を計算します.

1つのリングの電界を示すスプリットリング共振器モデルのクローズアップ図.

周波数選択表面

周波数選択表面と一般的な周期構造の透過, 反射, および回折をモデル化します.

RF加熱, マイクロ波加熱

マイクロ波加熱は, モバイル機器はもちろんのこと, 食品加工や医療技術においても重要です. 最新の5G 関連部品では, 前世代のデバイスよりも多くの熱が発生するため, 熱管理がこれまで以上に重要になります. RF モジュールは, 電磁加熱と伝熱の機能が完全に統合されており, 伝導, 対流, 温度に依存する材料データを扱うことができます. 構造力学モジュールMEMS モジュールと組み合わせることで, 熱変形や応力を考慮することができます. また, 伝熱モジュールを加えると, 熱放射の影響を併せてモデルに含むことができます.

アンテナと放射

アンテナやアンテナアレイなどの放射素子の性能は, その放射パターンからわかる指向性やゲインの観点から容易に評価することができます. また, 放射パターンは特殊な遠方場解析を使用した近傍場解から計算されます. アンテナの入力整合特性は, Sパラメーターの計算に使用されるアンテナフィードのポート条件を使用することで簡単に利用できます.

放射デバイスが円筒対称である場合, 2D 軸対称解析オプションを使用することで, 桁違いに高速な計算が可能になります.

アンテナアレイの解析は, そのままモデル化すると計算量が多くなります. アンテナアレイの性能について迅速なフィジビリティスタディを行う際は, アンテナアレイ係数の機能を使用して, シミュレーションを簡素化することで, 貴重な計算時間を節約できます.

散乱シミュレーションでは, 専用の散乱場定式化により, ガウシアンビーム, 直線偏光平面波, ユーザー定義のフィールドなど, 入射波を背景場として指定できます.

完全整合層 (PML) を含めることで, 幅広の周波数と入射角で放射を吸収できます.

RFモジュールの特徴と機能

RFモジュールの特徴と機能について, 以下のセクションで詳しくご紹介します.

電磁波、周波数領域ノードが強調表示され、グラフィックウィンドウにダイポールアンテナモデルが表示されたモデルビルダーのクローズアップ図.

組み込まれたユーザーインターフェイス

RF モジュールには, 上記のすべての解析タイプに対応したユーザーインターフェースが組み込まれています. これらのインターフェースでは, ドメイン方程式, 境界条件, 初期条件, 事前定義されたメッシュ, ソルバー設定によって事前定義されたスタディ, 事前定義されたプロット, 計算値のセットを定義します. これらのステップはすべて, COMSOL Multiphysics® 環境内で行われます.

利用可能な境界条件はすべて, モデル化されるマイクロ波部品に対応しています. パーツライブラリは, 部品のジオメトリを構築するのに役立ちます. メッシュとソルバーの設定は, 自動的に処理されますが, 手動で編集するためのオプションも用意されています.

グラフィックウィンドウのロードされたパーツ設定とウィルキンソン電力分配器モデルのクローズアップ図.

CADインポートとパーツライブラリ

CAD インポートモジュールを追加すると, 業界標準のさまざまなCAD 形式をRF 解析用にインポートすることができます. インポートオプションには修復機能が含まれており, ジオメトリの細部除去をして, メッシングや解析の準備をすることができます. デザインモジュールでは, これらの機能に加えて, ロフト, フィレット, 面取り, 中立面, 厚み付けなどの3D CAD オペレーションを行うことができます.

COMSOL Multiphysics® で直接ジオメトリを構築したい場合, RF モジュールには, コネクター, 表面実装部品, 導波管といったRF シミュレーションで頻繁に必要とされる複雑な形状を含むパーツライブラリが用意されています. これらのパーツはパラメトリックジオメトリモデルとして利用できます. また, RF パーツの多くには, 解析の設定時にPEC 境界条件を適用するための伝導性境界の選択項目が含まれています.

モデルビルダーの拡大図と, グラフィックスウィンドウの1Dプロット.

周波数領域と時間領域の変換

シグナルインテグリティ (SI) の問題を扱うTDR では, 過渡現象の解析が有効ですが, RF やマイクロ波の事例の多くは, S パラメーターを生成する周波数領域のシミュレーションを用いて対応しています. 従来の周波数領域スタディの後に周波数から時間への高速フーリエ変換 (FFT) を行うことで, TDR 解析が可能になります. このタイプの解析では, 時間領域の信号変動を解析することで, 伝送線路上の物理的な不連続性やインピーダンスの不整合を特定することができます.

小さな周波数ステップで広帯域周波数スイープを実行することは, 時間のかかる煩雑な作業となり得ます. Sパラメーターや遠方場放射パターン解析などの広帯域アンテナのスタディは, 過渡シミュレーションと時間-周波数FFT を実行することで得られます.

熱膨張ノードが強調表示され, グラフィックウィンドウにキャビティフィルターモデルが表示されたモデルビルダーのクローズアップ図.

マルチフィジックス解析

現実世界の現象をモデル化するために, COMSOL Multiphysics® やRF モジュール, その他のアドオン製品では, さまざまなマルチフィジックス解析を行うことができます. フィルターの設計では, 熱解析と応力変形は重要な考慮事項です. たとえば, キャビティフィルターは通常, 誘電体と金属の両方の材料でできています. 金属の伝導率は温度によって変化し, 熱はデバイスの損失に影響を与えるため, 熱を放散しなければなりません. 熱の放散は温度の上昇につながり, 温度の変化は材料の膨張または収縮を引き起こします. したがって, キャビティフィルターが高電力負荷を受けたり, 極端な熱環境に置かれたりすると, ドリフトが発生することがあります. マルチフィジックス解析は, デバイスの最適化において, このような影響を考慮するのに役立ちます.

完全一致レイヤーノードが強調表示され, グラフィックウィンドウのアンテナの横に人間の頭のジオメトリがあるモデルビルダーのクローズアップ図.

境界条件

正確な高周波電磁気のモデリングを行うために, たとえば金属境界の記述など, 幅広い境界条件のオプションから選択しましょう.

RF モジュールの注目すべき境界条件は以下になります:

  • 完全電磁気導体 (PEC, PMC)
  • インピーダンス (有限伝導性)
  • 遷移 (損失のある薄い金属シートと多層)
  • 周期性 (フロケ)
  • 吸収境界
  • 容量性, 誘導性, 抵抗性の集中定数要素
  • ポート
    • 矩形および円形導波管
    • 同軸ケーブル
    • 数値 (任意の形状で整合したモード)
    • 横電磁 (TEM)
    • 集中
    • Touchstoneファイルによる2ポートおよび3ポートのネットワークシステム
マテリアルノードが強調表示され, マテリアルの追加ウィンドウにRFオプションが表示されたモデルビルダーのクローズアップ図.

材料特性

RF モジュールには, RF, マイクロ波, ミリ波回路基板のモデリングや非線形磁気モデリングに役立つ, 基板材料の材料特性を備えたライブラリが含まれています. RF 材料ライブラリには, 以下の企業の製品からの材料特性データが含まれています:

  • Rogers Corporation
  • Isola Group
  • Avient Corporation

高度なモデリングでは, 不均一, 異方性, 非線形, 分散性材料の材料特性を指定することにより, 材料をカスタマイズできます. すべての特性は, 空間的に変化させたり, 不連続にしたりすることができます. さらに, 比誘電率と比透磁率を定義することもできます. 損失のある材料の場合は, 複素数の特性, 伝導率, または損失正接を使用できます. 分散性を示す材料には, ドルーデ‐ローレンツとデバイの2つのモデルが用意されています. また, 磁性材料を含んだ, より高度な解析では, 非線形磁気挙動を指定することができます.

Smith Plotノードがハイライトされ, 対応する結果がグラフィックウィンドウに表示されたモデルビルダーのクローズアップ図.

データの可視化と抽出

電場と磁場, Sパラメーター, 電力潮流, 散逸, 遠方場放射パターン, スミスプロットなどの事前定義されたプロットを使用してシミュレーション結果を表示します. S パラメーターは, Touchstoneファイル形式でエクスポートできます. また, 自由に定義した物理量の式をプロットしたり, シミュレーションから得られた計算値を表にしたりして, 結果を表示することもできます.

回折次数ノードが強調表示され, グラフィックスウィンドウに六角形の格子モデルが表示されたモデルビルダーのクローズアップ図.

周期構造

周期構造は, 新しい5G ハードウェア, サブ波長イメージング, 高度なレーダー技術などのアプリケーション向けに開発されている多くの人工電磁構造の基本です. RF モジュールでは, 周期構造と周期構造の高次回折モードを含み, フロケ周期条件やさまざまな回折次数でモデル化できます. これらの機能により, 反射, 透過アレイやホログラフィック表面の要素を正確に設計することができます.

どのビジネスもシミュレーションニーズもそれぞれ違います. COMSOL Multiphysics® ソフトウェアがお客様のご要望を満たすかどうかをきちんと評価するために, 我々にご連絡ください. 我々のセールス担当と話をすれば各個人に向いたお勧めや, しっかり文書化されたモデルなどをお送りすることができ, 最大限の評価結果を引き出すことができます. 最終的にどのライセンスオプションがあなたの要望にとって最適かを選択することができます.

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