伝熱モジュール

高度なシミュレーションソフトウェアで熱効果を解析

COMSOL Multiphysics® シミュレーションプラットフォームのアドオンである伝熱モジュールは, 伝導, 対流, 放射による伝熱を解析します. 伝熱モジュールには, 熱設計と熱負荷の影響を調べるための包括的な機能が備えられています. 部品, 筐体, 建物全体の温度場と熱流束のモデル化が可能です. システムや設計の現実世界での動作をバーチャル環境で調べるために, このソフトウェアに含まれるマルチフィジックスモデリング機能を用いて, 複数の物理的効果を単一のシミュレーション環境に簡単に結びつけることができます.

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電球の周りの流体の流れと, 電球内の温度と流体の流れを示す LED 電球のモデル画像.

伝熱モード

伝熱モジュールのすべての機能は, 伝導, 対流, 輻射の3つの伝熱モードに基づいています. あらゆる材料で発生する伝導は, 等方性または異方性の熱伝導を持ち, その値は温度の定数または関数である可能性があります. 伝熱シミュレーションにおける流体の動きである熱対流には, 強制対流と自由 (自然) 対流があります. 熱輻射は, 表面対表面放射または半透明媒体内での輻射を用いて記述できます.

伝熱モードには多くのバリエーションがあり, 異なるモードを一緒に検討しなければなりません. 場合によっては, 一度に3つすべてを検討することもあります. これらすべてのモードで正確なモデルを作成するためには, さまざまな方程式を同時に処理する必要があります. 伝熱モジュールは, あらゆるタイプの伝熱のモデリングを処理するために開発されました.

伝熱モジュールでモデル化できるもの

マルチフィジックスモデリングアプローチにより, さまざまなタイプの熱源をシミュレーションできます.

A detailed view of a busbar assembly showing the temperature distribution.

ジュール加熱

固体, 流体, シェル, 積層シェルにおけるジュール加熱 (抵抗加熱とも呼ばれる) をモデル化します.

3つの通電コイルを通過するときの鋼ビレットの温度分布の詳細図.

誘導加熱1

インライン式誘導加熱装置と金属加工のアプリケーションをモデル化します.

部分的に透明な導波管ベンドのモデルで, 通過する波を表す赤白と青の表面プロットと, 赤, 黄, 白のカラーグラデーションで示される温度の誘電体ブロックを示します.

マイクロ波加熱2

導波管, 組織, およびその他のバイオ応用におけるマイクロ波, PF をモデル化します.

半分のガラスシリンダーの詳細図で, 一方の四半期のビーム強度ともう一方の四半期の温度分布を示しています.

レーザー加熱33

Beer–Lambert 則を使用して, さまざまな製造や生物医学用途のプロセスでレーザー加熱およびアブレーションをモデル化します.

温度分布を示すタービンステータブレードの詳細図.

熱応力4

さまざまな動作条件での熱膨張と熱応力の影響を知ることができます.

接点スイッチと温度分布による電流流線の詳細図.

熱接触

固体力学モデルの接触圧に依存する接触伝熱係数を含めます.

温度分布を示す熱電冷却装置の詳細図.

熱電効果

ペルチェ・ゼーベック・トムソン効果を考慮し, テルル化ビスマスやテルル化鉛などの一般的な材料を含めます.

フィン付きパイプ熱交換器の詳細図. パイプを通過する流れとフィン内の温度を示しています.

薄いシェル

電子機器や電力系の部品を設計する際の熱性能を解析します.

地熱ダブレットの割れ目からの流れと熱伝達の詳細図.

多孔質媒体の伝熱

多孔質媒体内の伝導と対流, および熱分散を考慮します.

タンクを通る流れと熱伝達を示す貯蔵タンクの詳細図.

局所熱非平衡

孔内の急速な流れのように, 局所熱平衡が想定されていない多孔質媒体での伝熱をシミュレーションします.

A detailed view of a computer's power supply unit with a fan and grille showing the fluid flow through the unit and heat transfer in the components.

電子冷却

効率的で正確なシミュレーションにより, 冷却能力を解析し, 機能不良を回避し, 最適な設計を目指します.

ヒートカメラライトカラーテーブルのプレートフィン熱交換器モデルの拡大図.

熱交換器

固体が流体を分離し, 混合せずにエネルギーを交換している中, 長距離にわたってエネルギーを運ぶ流体を解析します.

A detailed view of an electric probe with electric current streamlines and temperature isosurfaces of the surrounding tissue.

医療技術と生体加熱

生体熱方程式を使用して, 腫瘍切除, 皮膚プローブ, 組織壊死などの医療応用のプロセスを解析します.

ガラスカップの温度とカップを通過する流路を通る流線を示すお湯のガラスの詳細図.

蒸発冷却

空気中の熱と水分の輸送をモデル化することで, 飽和圧力を決定し, 蒸発を数値化することで, 凝縮を回避します.

全体の温度分布がヒートカメラのカラーテーブルに示され, 熱流束が矢印で示されている建物構造パーツのモデル.

建造物の熱管理

木枠, 窓枠, 多孔質材料, およびその他の建築構造物の熱性能を解析します.

凍結乾燥プロセスを示すために, 2つのシリンダーの詳細図が示されています. 1つのシリンダーの2つのフェーズと, もう1つのシリンダーの熱伝達です.

フリーズドライ

熱収支と物質収支を合わせて計算し, 多孔質媒体を通じて進行する流体-固体インターフェースをシミュレーションします.

地球模型上の衛星の拡大図.

宇宙船の熱解析

直射太陽放射, アルベド, 惑星赤外線束, および宇宙船のさまざまな部品間の放射熱伝達から宇宙船の温度を計算します.

伝熱モジュールの特徴と機能

伝熱モジュールは, 伝熱効果をモデル化するための特殊な機能を備えており, COMSOL Multiphysics®プラットフォームでシームレスに機能し, 一貫したモデル構築のワークフローを実現します.

非等温流マルチフィジックス結合の設定ウィンドウとヒートシンクシミュレーションの結果.

共役伝熱と非等温流れ

伝熱モジュールには, 共役伝熱効果, 非等温流れ効果のモデリング機能が含まれています. 層流, 乱流の両方がサポートされており, 自然対流と強制対流をモデル化することができます. 自然対流を考慮するには, 重力のチェックボックスにチェックを入れるだけです. また, 圧力と粘性散逸の影響を受けた温度分布を計算することもできます.

乱流は, k-ε モデル, 低レイノルズ数 k-ε モデル, 代数的 yPlus モデル, またはLVEL 乱流モデルなどのレイノルズ平均ナビエ・ストークス (RANS) モデルを使用してモデル化できます. CFD モジュールと組み合わせることで, リアライザブル k-ε モデル, k-ω モデル, せん断応力輸送 (SST) モデル, v2-f モデル, および Spalart-Allmaras 乱流モデルも利用できます. 流体-固体インターフェースでの温度遷移は, 流れモデルに応じて, 連続性, 壁面機能, 自動壁処理を使用して自動処理されます.

相変化インターフェース機能の設定と, 相変化インターフェースのアプリケーションを示すグラフィックウィンドウ.

相変化

伝熱解析で相変化現象をシミュレーションするために, 伝熱モジュールには2つの方法があります. 相変化材料機能は, 見かけの熱容量の定式化を実装し, 相変化のエンタルピーと材料特性の変化を考慮します. この方法では, 体積やトポロジの変更をモデル化することができます.

また, 相変化インターフェース機能では, ステファンエネルギー平衡条件に従った相変化をモデル化し, 異なる密度を持つとされる2相間界面速度を計算します. こちらの方法はトポロジに変更がない場合に変形したジオメトリと組み合わせることで, 非常に効率的かつ効果的です.

A close-up view of the Model Builder with the Thermal Expansion, Layered node highlighted and a heating circuit model in the Graphics window.

薄層とシェル

薄層内の伝熱には, 伝熱モジュールに備わっている個別層モデルと積層材料技術を使用することで, モデルの残りの部分よりも幾何学的にはるかに小さい層内の伝熱を調べることができます. この機能は, 薄層, シェル, 薄膜, および破損に使用できます.

個別層には, 層の接線方向に熱が伝わり,層の両側の温度差が無視できるほど微量な場合, 高伝導性材料用の熱性薄層モデルが使用されます. 逆に, 熱性厚層モデルは, シェルの垂直方向内熱抵抗としての低伝導材料に使われます. このモデルでは, 2層側面間の温度差を計算できます. 最後に, 一般的なモデルには完全熱方程式が組み込まれているため, 高精度で普遍的なモデルが実現します.

積層材料技術には, 詳細な積層材料定義のための前処理ツールや積層構造形状をファイルから (またはファイルへの) 読み込み/保存する機能, また積層プレビュー機能などが含まれています. 元々, 3D 固体としてモデル化されたかのように, 薄層構造で結果を可視化できます. 積層材料機能は, AC/DC モジュール構造力学モジュールに含まれており, 電磁加熱や熱膨張などのマルチフィジックスカップリングを積層材料に取り込むことができます.

A close-up view of the Model Builder with the Lumped Thermal System node highlighted and a 1D plot in the Graphics window.

集中熱系

熱回路網における伝熱率と温度分布を計算するための機能を利用できます. 集中熱系インターフェースは, 熱抵抗器, 発熱率, 熱質量などの集中熱系機能をサポートします. ソフトウェアは, 温度と発熱率を従属変数として使用し, エネルギー保存方程式を解きます.

A close-up view of the Model Builder with the Surface-to-Surface Radiation node highlighted and a parasol model in the Graphics window.

表面‐表面放射

伝熱モジュールはラジオシティ法を用いて拡散面, 拡散-鏡面混合面, 半透明層上の表面‐表面放射をモデル化します. これらは2D, 3D ジオメトリ, あるいは拡散面をモデリングする場合の2D 軸対称ジオメトリで利用できます. 表面と周囲の特性は温度, 放射波長, 入射角, またはモデル内の他の量に左右される場合があります. 透明特性は, スペクトル帯 (またはスペクトル帯がサポートされている任意数) ごとに定義することができます.

太陽放射と大気放射については, 事前定義された設定を利用でき, 短波長 (太陽スペクトル帯) の表面吸収率と長波長 (大気スペクトル帯) の表面放射率が異なる場合があります. そして, 太陽放射の方向は地理的な位置と時間から定義できます.

形態係数は, ヘミキューブ法, レイシューティング法, または直接積分領域法を使用して計算されます. 計算効率のよいシミュレーションを行うために, 対称面や対称セクターを定義することができます. 移動座標系と組み合わせると, 表面‐表面インターフェースは, ジオメトリの形状変形に合わせて形態係数を自動的に更新します.

A close-up view of the Radiation in Participating Media interface settings and a glass plate model in the Graphics window.

半透明媒体内輻射

伝熱モジュールには, 関与媒質, 吸収および散乱媒質, 吸収媒体中の輻射といった半透明媒体内のさまざまなタイプの輻射をシミュレーションするためのツールが備わっています.

関与媒質中の輻射には, Rosseland ランド近似値, P1 近似値, または離散座標法 (DOM) を使用します. 吸収および散乱媒質中の輻射には, P1 近似値と DOM を使用して, たとえば, 非放射媒体中の光の拡散をモデル化します. 最後に, Beer–Lambert の法則を使用して, 吸収媒質中の輻射をモデル化し, その効果を他の形式の伝熱と連成することができます.

A close-up of the Model Builder with the Heat and Moisture node highlighted and an evaporative cooling model in the Graphics window.

水分輸送

熱と水分の輸送の解析には, 伝熱と水分流れ, 建築材料内の水分輸送, 湿潤空気, および吸湿性多孔質媒体を連成するための幅広いマルチフィジックス機能が必要です. これらの効果を研究するため, 伝熱モジュールには, 非等温流れと組み合わせた空気中の水分輸送と湿潤多孔質媒体をモデル化するための設定が含まれています. また, 表面での水の凝縮と蒸発を解析するツールや, 熱, 水分の蓄積, 潜熱効果, および水分の拡散, 輸送を解析するための追加機能もあります.

グラフィックスウィンドウ内の惑星特性設定と衛星モデルの拡大図.

軌道熱負荷

宇宙船の放射負荷と温度については, 軌道熱負荷インターフェースが, 地球の周りを周回する衛星の太陽と地球からの放射をモデル化するための既製の機能を提供します. この機能により, 宇宙船の放射特性, 軌道と方向, 軌道操作, 惑星の特性を含めることが可能になります. さらに, 直射太陽放射, アルベド, 惑星赤外線束, および宇宙船のさまざまな部品間の放射熱伝達を示す結果を計算して生成します. このインターフェースを伝熱インターフェースと組み合わせて, 宇宙船の固体部品の熱伝導を考慮することができます.

A close-up view of the Ambient Properties settings and a 1D plot in the Graphics window.

Time-Dependent Meteorological Data

The Heat Transfer Module, in addition to allowing the incorporation of user-defined meteorological data, includes three meteorological datasets from the ASHRAE 2013 handbook (ASHRAE Weather Data version 5.0), the ASHRAE 2017 handbook (ASHRAE Weather Data version 6.0), and the ASHRAE 2021 handbook (Weather Data Viewer 2021). These datasets provide time-dependent weather conditions from around 8500 stations worldwide, detailing measurements such as dry bulb temperature, dew-point temperature, relative humidity, wind speed, absolute pressure, precipitation rate, and solar direct and diffuse irradiance, based on hourly averaged data for the dry bulb temperature and monthly averaged data for any other weather conditions.

Available as variables for several features, these datasets enable detailed environmental condition modeling. For example, in the Heat Flux feature, the ambient temperature, ambient absolute pressure, and wind velocity can be used as the correlations that define the heat transfer coefficient.

どのビジネスもシミュレーションニーズもそれぞれ違います. COMSOL Multiphysics® ソフトウェアがお客様のご要望を満たすかどうかをきちんと評価するために, 我々にご連絡ください. 我々のセールス担当と話をすれば各個人に向いたお勧めや, しっかり文書化されたモデルなどをお送りすることができ, 最大限の評価結果を引き出すことができます. 最終的にどのライセンスオプションがあなたの要望にとって最適かを選択することができます.

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