Molecular Flow Module

真空システムの低圧気体流をモデル化するソフトウェア

Molecular Flow Module

イオン注入機では、ビーム経路に沿ったガス放出分子の平均数密度を、設計を評価する性能指数として使用します。平均数密度は、ウエハー角度の関数として、1 軸を中心とした回転で計算します。

低圧/低速気体流の正確なモデル作成

分子流モジュールは、複雑なジオメトリの低圧/低速気体流に従来利用できなかったシミュレーション機能を提供するために設計されました。このモジュールは、半導体の処理、粒子加速器、質量解析計などの真空システムのシミュレーションに理想的です。小さなチャネルの用途 (シェールガスの探査やナノ細孔材料における流れなど) にも対応できます。

分子流モジュールでは、高速の角度係数手法で定常状態の自由分子流をシミュレートします。等温分子流と非等温分子流をモデル化して、熱流束寄与を気体分子から自動的に計算できます。遷移流のシミュレーションには離散速度手法も組み込んでいます。

自由分子流と遷移流をモデル化する 2 つの手法

分子流モジュールでは、低速で低圧の流れを管理しやすく正確な結果が得られる方法で解決できるよう、これらの方式に対して 2 つの代替手法を用意しています。グラフィカルユーザーインタフェース (GUI) でモデル入力を受け取って、一連の方程式を完全に指定できるように構成された、2 つの専用のフィジックスインタフェースを利用できます。

自由分子流

自由分子流インタフェースは、角度係数手法で、クヌーセン数が10を超える流れをモデル化します。このフィジックスインタフェースでは、モデル化したジオメトリの体積の物理特性の解決はせず、表面のメッシュ化のみが必要です。ジオメトリのすべての表面の完全な散漫散乱 (全体調整) と放出が前提となり、流れは、視線にある他のすべての表面に到着した流束を統合して計算します。すなわち、依存変数はジオメトリの表面にのみ存在し、解法プロセスは DSMC 方式よりはるかに高速です。さらに、このインタフェースは統計的散乱の影響は受けません。数密度は、自由分子流インタフェースにある方式で再構築します。

過渡流

遷移流インタフェースは、格子ボルツマン/離散速度法の修正法を利用したボルツマン BGK 方程式で、遷移流を解決します。DSMC 法と違ってこの解法は、統計的雑音の影響を受けません。.気体分子の乱反射も、すべての表面で想定し、あらゆる方向から来る分子は効果的に表面で吸収し、続けてクヌーセン法により再放出します。このインタフェースでは、モデルジオメトリをメッシュ化して物理的空間を離散化し、速度求積法を選択します。これで、速度空間内のメッシュを表す依存変数セットを提供します。物理的空間と速度空間の両方で問題を解決できるよう、メッシュと求積法のいずれも、互いに無関係に調整できます。

事例紹介

  • 自由分子流インタフェースで利用できる角度係数手法と、数学的粒子トレーシングインタフェースを使用するモンテカルロ法の両方を使用した RF カプラーの通過確率 (粒子トレーシングモジュールが必要)。 自由分子流インタフェースで利用できる角度係数手法と、数学的粒子トレーシングインタフェースを使用するモンテカルロ法の両方を使用した RF カプラーの通過確率 (粒子トレーシングモジュールが必要)。

高速で正確なシミュレーションのための最適な手法

低圧気体は、従来方式の計算流体力学ツールではモデル化できません。これは、気体分子の平均自由行程が流れの長さスケールに匹敵するようになるため、動力学的効果が重要になるためです。流動の枠組みは、クヌーセン数 (Kn) で定量的に分類します。これは、気体流のジオメトリサイズに対する分子の平均自由行程を表します。

流れのタイプ クヌーセン数
Continuum flow Kn<0.01
Slip flow 0.01<Kn<0.1
Transitional flow 0.1<Kn<10
Free molecular flow Kn>10

マイクロフルイディクスモジュールは、すべり流と連続流のモデル化に使用しますが、分子流モジュールは、自由分子流と過渡的流動の枠組みの流れを正確にシミュレーションするために開発されました。歴史的に見て、この枠組みの流れは、モンテカルロ直接 (DSMC) 法でモデル化されてきました。この方法は、システムで任意抽出した大量の粒子の軌道を計算しますが、モデル化プロセスに統計的雑音が紛れ込みます。真空システムに見られるような低速流の場合、DSMC による雑音があるとシミュレーションができなくなります。COMSOL は、代替手法として、遷移流の離散速度手法(格子ボルツマン速度求積法) と分子流の角度係数手法を採用しました。

Ion Implanter Evaluator

Differential Pumping

Molecular Flow Through a Microcapillary

Rotating Plate in a Unidirectional Molecular Flow

Outgassing Pipes

Adsorption and Desorption of Water in a Load Lock Vacuum System

Molecular Flow Through an RF Coupler