MATLAB^® からマルチフィジックスシミュレーションを実行する

LiveLink™ for MATLAB^® は, MATLAB^® から COMSOL Multiphysics^® に送信されるスクリプト言語によるコマンドを提供し, COMSOL Multiphysics^® でシミュレーションを開始させます. この機能は, モデリング手順の自動化や, COMSOL Multiphysics^® モデルと MATLAB^® での計算の統合に使用することができます. LiveLink™ for MATLAB^® は COMSOL アプリケーションプログラミングインターフェース (API) を使用しており, ゼロからのモデル実装や既存モデル の設定更新に必要なすべての関数とメソッドを備えています.

COMSOL Multiphysics^® モデリングのすべての側面は, MATLAB^® 環境と緊密に統合された API を介して MATLAB^® を使用して制御することが可能です. LiveLink™ for MATLAB^® により, 形状およびメッシュの操作, 物理設定の変更, パラメトリックスタディの実行, ソルバーの制御, 結果のポストプロセシングを行うことができます. 結果は, 数値データおよび MATLAB^® 図形として抽出することができます.

MATLAB^® からモデルを管理するためのユーティリティツール

COMSOL^® のすべてのモデル設定は, MATLAB^® のコマンドラインから利用可能です. モデルのデータ構造とモデル設定に習熟するために, LiveLink™ for MATLAB^® には, モデルの内容をナビゲートおよび検索するための2つのユーティリティツール, モデルナビゲーターおよびモデル検索ツールが付属しています.

モデルナビゲーターは, モデルツリー内のモデル構造の概要と, モデル設定, モデルの各部分で実行可能なコマンドを提供します. このツールを使って, モデルのプロパティを設定したり検索したりするためのコマンドを簡単に抽出し, 独自のスクリプトで使用することができます.

モデル検索ツールは, MATLAB^® インターフェースから COMSOL Multiphysics^® モデルを検索し, モデル内で使用されている式や変数を見つけるのに役立ちます. 検索を絞り込むために, いくつかのフィルターと検索設定が提供されています.

さらに, MATLAB^® と COMSOL Desktop^® からモデルに同時にアクセスすることができます. このように, 作業内容に応じて最適なワークフローを使用することができます. コマンドラインやスクリプトを使用して実行したい作業もあれば, COMSOL Multiphysics^® ユーザーインターフェースを使用して実行した方が便利な作業もあるでしょう.

MATLAB^® からジオメトリモデルとメッシュを管理・作成

MATLAB^® から COMSOL Multiphysics^® を実行すると, 形状モデルおよびメッシュを柔軟に扱うことができます. MATLAB^® プログラムおよび MATLAB^® コマンドラインインターフェースからは, 以下のことが可能です:

• MATLAB^® からの入力でジオメトリオブジェクトを生成
• 業界をリードするさまざまなファイル形式で CAD モデルをインポートおよびエクスポート可能¹
• インポートした CAD モデルに基づいてシミュレーションを実行
• STL, 3MF, PLY ファイル形式でのサーフェスの作成, インポート, エクスポートが可能
• MATLAB^® 図形へのジオメトリオブジェクトのプロット
• 点, エッジ, サーフェス, ドメインのジオメトリ情報を取得 (隣接度, 曲率, 距離など)
• イメージから2D ジオメトリへの変換
• メッシュを生成する
• MATLAB^® 図形へのメッシュのプロット
• メッシュ統計等のメッシュ情報を取得する
• メッシュデータのインポートとエクスポート

COMSOL Desktop^® から MATLAB^® 関数を呼び出す

LiveLink™ for MATLAB^® は, COMSOL Multiphysics^® を実行しながら MATLAB^® に直接接続することができる機能です. COMSOL Multiphysics^® のユーザーインターフェース (UI) から MATLAB^® 関数を呼び出して, 材料特性や境界条件などを定義することができます. これらの MATLAB^® 関数は, モデルの解析中に評価することができます. さらに, COMSOL シミュレーションアプリに MATLAB^® の呼び出しを含めることができ, その場合, ランタイム中に MATLAB^® が呼び出されると自動的に開始されます.

既存の MATLAB^® プログラムとの統合

MATLAB^® ユーザーは, COMSOL Multiphysics^® シミュレーションを既存のコードベースに簡単に統合することができます. COMSOL Multiphysics^® ユーザーインターフェースで設定されたモデルを M ファイルに保存することができます. この M ファイルには, COMSOL Multiphysics^® の機能を実行するための MATLAB^® 構文による COMSOL^® API 呼び出しが含まれています. これにより, COMSOL^® モデリングコードを迅速かつ簡単に自動生成することができ, これを起点として MATLAB^® プログラムに組み込むことができます.

自動コード生成ツールを使用すると, LiveLink™ for MATLAB^® に含まれる MATLAB^® 用 COMSOL^® API を短時間で習得することができます. COMSOL^® API は習得が容易で, COMSOL Multiphysics^® ユーザーインターフェースでモデルビルダーを使用してモデルを設定する際の手順と同様の直感的な構造になっています.

MATLAB^® ツールボックスをベースにした既存のコードや独自のコードは, COMSOL Multiphysics^® シミュレーションと簡単に統合できます. MATLAB^® を使用して作成されたユーザーインターフェースから COMSOL Multiphysics^® を呼び出すことも可能です. これにより, 例えば, プリプロセッシングおよびポストプロセッシングに MATLAB^® を使用し, 構造, 流体, 電磁気学, その他の物理学またはマルチフィジックスのモデリングに COMSOL Multiphysics^® を使用することが可能になり ます. その後, MATLAB^®, COMSOL Multiphysics^®, およびその他のツールで作成したプログラムとモデルを組み合わせてシミュレーショ ンを実行することができます.

MATLAB^® でのプロット生成と COMSOL Multiphysics^® からのデータ抽出

COMSOL Multiphysics^® のすべてのプロットを MATLAB^® で再作成することができます. すべてのプロットタイプは通常の MATLAB^® プロットとして生成でき, 他の MATLAB^® プロットと同様に保存またはエクスポートして操作することが可能です.

MATLAB^® プログラムから, COMSOL Multiphysics^® の式を, いくつかの点で局所的に評価することも, エッジ, サーフェス, ボリュームなど, モデルの大きな部分について評価することもできます. 生の解答データ, または最大値, 最小値, 平均値, 積分値など, 任意の式に基づいて処理されたデータにアクセスすることができます.

COMSOL Multiphysics^® の単位操作は, 抽出されたデータの種類を問わず完全にサポートされているため, 例えば, 自分のプログラム内で単位変換のために単位操作を使用することができます.

COMSOL Multiphysics^® シミュレーションのあらゆる数値データを取得し, MATLAB^® 変数に代入してさらに解析することができます. メッシュや形状関数のデータに直接関連する低レベルの情報はもちろん, 感度や時間的, 空間的な微分も抽出することができます.